《バイヤー道~私の買取接客術~》松井 次郎取締役、ゴミ箱に捨てられた指輪を買取

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《バイヤー道~私の買取接客術~》松井 次郎取締役、ゴミ箱に捨てられた指輪を買取

2018年10月21日

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バイヤー道
~私の買取接客術~


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NORTH VILLAGE(埼玉県さいたま市)
松井 次郎取締役

離婚案件と推測し的中
ゴミ箱に捨てられた指輪を買取

10-2.pngのサムネイル画像▲出張買取24時のHP

24時間対応で出張買取サービスを行うNORTH VILLAGE(埼玉県さいたま市)。「リサイクルショップ出張買取24時」の屋号で展開し、年間110万件を超える問い合わせを個人・法人より受けている。
同社の松井次郎取締役は6年前、依頼先の女性宅から次々と新しい家電が出てくることから、"離婚絡み"と推測し的中させた。現場ではコミュニケーション重視の接客で成約は8割以上を誇る。その出張買取技術について聞いた。

出張買取のポイント

▶所作始まりの一言目は感じ良く
・・・入室する際の「お願いします!」、査定を始める際の「頑張ります!」
▶モノの状態よりも、手放したい理由を聞く
・・・相手の望みに理解を深めると、買取量を増やせる可能性も

依頼主との交渉は玄関先から始まる

6年前のある日、「家具家電をまとめて処分したい」という依頼が30代女性から入った 。松井取締役が電話で細かく聞いていくと、冷蔵庫や洗濯機などがどれも 「新品を購入し1年以内」だった為、「これはもしや?」と感づいた。年間110万件超の問い合わせの中で、"離婚済み"による処分依頼は珍しくない。比較的年式が新しい家電や使用感が低い家具の出所ともなり得る。


同取締役は女性宅を訪問し、玄関先で、「出張買取です!お願いします!」と声を上げた。「依頼主との交渉は玄関先から」と話すように、まず大切なのは礼儀。次に玄関先に並ぶ靴の整頓具合や、部屋に通されるまでに見える生活雑貨等あらゆる物に目を配り 、依頼主がどんな性格かを想像してみる 。「几帳面そうな人なら、買取査定の説明は1点ずつ丁寧に 。相手もこちらに丁寧さを求めていると思う。逆に煩雑なら、全部まとめて買取査定額を伝えるくらい、スピード感ある対応をとる」(同取締役)


背景を伺い 要望の本質を知る

現場には母親も現れ母娘での立会いとなった。「頑張って査定させて頂きます!」と母娘に対し感じ良く声を掛けた。次に査定に移り、気になるコトを躊躇なく聞いた。「新しい物ばかり。何かありました?」。すると「離婚が原因」との返答があった。


出張買取で最も大切なのは、依頼主の望みに理解を深めること。離婚は依頼主の背景にある一要素。そこから、「要望以外の物も、実は引き取って欲しいのではないか?」と推測した松井取締役。その後やりとりは進み、家具家電以外にも買取交渉が成立。


結果、買取量を増やせた。女性が一瞬部屋を出ると、母親が同取締役に、「これも買い取ってもらえないかね?」と相談。なんとゴミ箱に捨てられている指輪をその場で取り出したのだ。どうやら娘のかつての結婚指輪。「娘の捨てちゃいましたけど、何かの足しになればと思って」。そう話す母親に、同取締役は伝票を別口に分け数万円の買取で交渉成立させた。

●無理に買取りしないケースも
とある案件で、母親と2人暮らしの50代男性からテレビを買取り 。しかし希望額に達せず、「じゃスクーターも」と差し出してきた。
すると母親が現れ、「それ売ってしまったら、私の薬を取りに行かれねえだろ」と止めに入る。結果スクーターの買取りは断り 、テレビの買取額を少し上げた。

第449号(2018/010/10発行)10面

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