《明日のリユースを創る!》「顧客化・会員化」
2019年02月22日
明日のリユースを創る!
実践マーケティング講座
~第5回 「顧客化・会員化」~
今回は「顧客化・会員化」についてお伝えしたいと思います。今日では多くの顧客がモノを売却する前に、相場比較サイトなどで事前に買取相場(売却相場)を調べています。その相場が売却する行動コストに見合えば、リユースショップに売却するし、見合わなければ自分でオークションサイトやCtoCモールで売却します。以前までブラックボックスだった買取価格や再販価格が、可視化された時代になりました。将来的にはどの店に持っていっても、買取価格はほぼ同じになると考えています。その時、お客様はどんな基準で店や売却方法を選ぶでしょうか?
利便性(近さやスピード、モノの大きさ)はもちろんありますが、やはり行った事があり、好意を持っている店を選択するのではないでしょうか?多くのリユースショップの顧客分析をすると、買取顧客の上位20%で全買取金額の80%を占めていることがわかります。20:80の法則です。言い換えれば、上位20%のお客様が自社の利益の80%もの貢献をしています。しかし、上位顧客も購入者→リピート客→ファン→ロイヤルカスタマーという段階を経ています。
それでは、お客様はどういうきっかけでロイヤルカスタマーになるのでしょうか?あるリユースショップでは、①買取価格②時間③接客④査定のアドバイス(持ってきた商品以外の)の4項目を5段階で調査する「顧客感動アンケート」を行っています。そこで調査した結果、ロイヤルカスタマーのお客様は、④持ってきた商品以外の査定のアドバイスに対する満足度が圧倒的に高いという共通点が判明し ました。買取相場、最適な売却方法、保管方法、そして売却を保留すべきかどうかというアドバイスまで、顧客の立場に立った中立的なアドバイスが信頼関係へとつながり、他のお客様を紹介してくださるロイヤルカスタマーになっています。
これからの消費は、商品やサービスのみで選択される時代ではなく、感動する顧客体験を通じて、その会社の考え方・思い・ストーリーに共感をして頂けるかどうかが大きな別れ道となると思います。あなたのお店は、商品・サービスを通して、どのような顧客体験を構築し、どんな思いをお客様に届けたいでしょうか?
初級者:目の前のモノを査定する。
中級者:お客様が気になっているモノ、価値がありそうなモノを見抜く。
上級者:お客様の家にあるモノ、意識していなかったコトにアドバイスする。
ほとんどのリユースショップの買取現場では、初級か中級に留まっているように感じます。プロは相手の家、生活状況などを察知し、相手の立場に立って、持ってきていないモノにまでアドバイスして喜ばれているのです。買取業務を通じてお客様の奥にある課題、悩みを解決するお手伝いをされているのです。真贋や相場がどんどん無料化、自動化されていく時代の中で、あなたのお店は、どんな価値をお客様に提供できているでしょうか ?
福本 晃
元船井総研上席コンサルタント。2000年に、リユース業界向けコンサルティング部門を立ち上げ、全国各地に600店舗のクライアントを持つ部門に育てる。リユースス業界のエキスパートとして、株式上場企業など数多くの急成長企業を作り出してきた。2017年3月にコンサルティング会社「A-DOS」を設立する。現在、「企業の"あり方"と"やり方"をつなげて、"理念"を"利益"に変える」をモットーにコンサルティングを行っている。リユース業界向けには、TRCコンサルティングを立ち上げ 、リユース企業への幅広い支援を行っている。著書に「はじめよう!リサイクルショップ中古品マーケティングの真髄」。
第457号(2019/02/10発行)14面