シンポジウム、デジタル遺品も「終活」法整備見通しなく自衛必要
2019年03月14日
デジタル遺品も「終活」法整備見通しなく自衛必要
デジタル遺品を専門に執筆活動を行うライターの古田雄介氏と、日本デジタル終活協会の代表理事を務める伊勢田篤史氏が中心となり、「デジタル遺品を考えるシンポジウム」を3月2日に開催した。第三回となった今回のテーマは「10年後も安心できるデジタル遺品の残し方を考える」。
遺品整理需要の高まりと共に注目を集めるデジタル遺品について、専門家や関連事業者を集めて講演とディスカッションを行った。伊勢田氏によると、デジタル遺品は原則として、遺品の中でもデジタル環境を
通じてのみ把握できるものを指す。その中からさらに、端末に保存されるアプリや画像ファイルなどのオフラインデータと、ネット銀行口座や各種WEBサービスといったオンラインデータに分けられる。
遺品として適切な対応がとられていなかった場合、遺族が端末にログインできず処分に困ったり 、金融機関やウェブサービスの利用状況が把握できないといった問題が起こりうる。本人も見られたくないデータやネットサービスが家族に発覚してしまうリスクがある。
古田氏は課題として「キャッシュレス化やIoT時代が到来している一方、デジタル遺品に関する法整備がされていない」点を指摘した。法整備の見通しも立っておらず、現状は専用ツールで見て欲しいデータと見て欲しくないデータを分けて管理しておくといった『デジタル終活』による自衛が必要という。伊勢田氏はこの現状を踏まえた上で、「面倒臭さや家族間の信頼関係など、デジタル終活の利用にまつわる壁をいかに越えるかが重要」と話した。当日はデータ復旧サービスなどを手掛けるデジタルデータソリューションや、デジタル資産の情報保管サービスを手掛けるDigtusによるサービスの紹介などがあった。
第459号(2019/03/10発行)5面