《新事業》厨房機器リユースのテンポスHD、同業者支援を推進 他社在庫2000点を自社通販で販売
2019年10月07日
厨房機器リユース大手のテンポスホールディングス(東京都大田区)は、「中古の殿堂」の名称で、同業他社の商品を自社通販サイト「テンポスドットコム」に掲載する事業を行っている。現在利用料無料で開放している。収益性がない今、同事業で狙いとするところを、テンポスHD取締役兼テンポスドットコム取締役統括マネージャーの品川絵美氏に聞いた。
▲テンポスHD取締役兼
テンポスドットコム取締役統括マネージャー
品川絵美氏
--中古の殿堂の狙いは。
品川 当社の顧客である飲食店の視点で考えてみました。例えば飲食店があらゆる備品を買い求める際、中古だけで用が済む話ではなく、新品や細かい用品が必要になってきます。その際、テンポスドットコムに寄れば欲しいものは何でも揃えられるということは便利ですし、また他社商品も掲載することで商品数も増えるので吟味しやすくなります。
--他社商品が売れても手数料が発生しません。御社にとって旨味がないのでは。
品川 現在はネット出品のみのサポートですが、今後は商品再生や物流など総合的にサポートできるサービスを目指しています。今後は有料化も考えていますが、あくまで検討段階という感じですね。同業者向け支援事業の入口に出品支援を据えることで、まずは当社のこの動きを業界内で知ってほしいというのはあります。
--現在何社が中古の殿堂を利用していますか。
品川 既に45社の同業者が契約しています。厨房機器買取の中堅業者もいますが、多くは小規模で展開されている買取業者です。
--契約している各社は、これまでネット販売を普通にされているような業者ですか。
品川 当然楽天やヤフーなどのECモールで既に販売実績のある業者もいます。そういう業者は中古の殿堂への出品も積極的で、今合計2000点程が常時出品されています。うち動きがあるのは8〜10%程です。一方ネット販売に全く力を入れられていない業者もいます。そういう業者には細かいサポートが必要です。
--そうなんですね。
品川 あとはこの業界の課題として、買取店が引き上げた機器には保証をつけられなかったり、買い取ってから現状販売に近い状態で再販したりなんてこともあるんです。
--そこも支援ですか。
品川 そうなんです。当社では電気を通す機器には全て1年保証をつけています。それくらいアフターフォローを強みとしているので、当社が同業者からそのフォローを代行するのも可能にしたいです。
飲食店の"生存率"は開業後5年で45%。それだけ低ければ廃業によって、解体や買取依頼が発生します。それがもし地方の店だと、そこへ引き上げに行くのが既存の買取業者では困難な場合もあります。その際に当社が、買取代行として出向くサービスもあっていいと思っています。今後当社では、国内の店舗拠点を6年で58店から100店にまで増やす計画です。
第472号(2019/09/25発行)17面