たんす屋、「五大陸着物コレクション」東京オリンピックまで毎月開催
2019年10月08日
着物リサイクル春夏秋冬
第229回 五大陸着物コレクション
1954年9月京都生まれ。77年 カリフォルニア州立大学ロングビーチ校留学、79年 慶応義塾大学卒業。同年東京山喜入社、87年 取締役京都支店長、91年 常務、93年 社長に就任、今に至る。
東京オリンピックまで毎月開催
世界213ヵ国の着物で魅力をPR
9月22日(日)、銀座シックス観世能楽堂にて「五大陸着物コレクション」を開催する。主催は、五大陸着物コレクション実行委員会、共催は一般社団法人イマジンワンワールドだ。文化庁が2020年まで日本全国で展開する「日本博」の一環として、更に内閣府の「beyond 2020」の承認も得て、来年7月の東京オリンピック開会式まで、ほぼ毎月開催する予定である。
五大陸着物コレクション実行委員会の中心は、弊社とチーム着物2020である。チーム着物2020は、以前このコラムで詳細を紹介させて頂いたが、経済産業省が主催する和装振興協議会で、2017年4月に立ち上げ、私がチームリーダーを務めている。サブリーダーには、イマジンワンワールド代表の高倉慶応氏や着物デザイナーの斎藤上太郎氏が就任している。
この「五大陸着物コレクション」の開催目的は来年の東京オリンピック・パラリンピックで、着物文化と日本文化の素晴らしさを国内外にアピールすることである。
五大陸着物コレクションのチラシ
大使夫人が自国の着物披露
イベントのメインを飾るのは、イマジンワンワールドの着物プロジェクトだ。高倉慶応氏は、約5年の歳月をかけて世界213の国と地域をイメージした着物を各国の大使館の了解を得ながら、現在の最高水準の染めと織りの工芸力を駆使して制作している。ここまで163ヵ国分を完成させ、来年の春には全ての完成を目指しておられる。
この着物を各国の大使館の大使夫人や大使のお嬢様を始め所縁の方々にお召し頂き、日本の最高峰の檜舞台、銀座シックス観世能楽堂で着物ショーをご披露しようという試みである。
そしてイベントの冒頭では、700年の歴史を誇る伝統芸能・能楽のワークショップを観世会の皆様にお願いし、同じく狂言のワークショップを万作の会の皆様にお願いしている。
更に今年6月17日に、パリのオペラ座で歴史上初となる「着物着付けショー」を企画し大成功を収めたチーム着物2020のメンバーでもある「都・村上裕子きもの教室」による帰朝記念の「着付け・舞」や、玉川錦之輔氏による日本舞踊「松の緑」など盛りだくさんの内容となる。
パナマ、ネパール等
1日10ヵ国登場
9月22日(日)の第一部は午後1時スタートで、イマジンワンワールドの着物プロジェクトを披露する。着物はコートジボワール、アフガニスタン、パナマ、ウズベキスタン、インドネシアの5ヵ国である。この5ヵ国に関しては、主に大使夫人、大使のお嬢様に自国の着物を着てショーに出て頂く予定だ。同時に日本からは、子供達を中心に友好着物パフォーマンスショーを企画している。
第二部は、午後5時30分スタートで、サンマリノ、ネパール、中国、パラグアイ、ロシアの5ヵ国で、各国に所縁のあるモデルさんに自国の着物を着てショーに出て頂く予定である。
この「五大陸着物コレクション」の第2回目を10月14日(月・祝)に、第3回目を11月16日(土)に予定している(チケットは早割価格でPeatixにて購入可能)。そして来年も毎月、7月まで合計10回のイベントを企画している。
真夏の暑さが着物の可能性阻む
これまでチーム着物2020では、東京オリンピックのメダルリボンの公募に、国産の絹を使った東京組紐で大日本蚕糸会と龍工房が応募した。また直近では、メダル授与のセレモニー介添人のユニフォームの公募に、サブリーダーの着物デザイナー斎藤上太郎氏がクールビズ素材の着物でチーム着物2020の関心表明を付けて応募した。しかし、今回東京オリンピックの開催時期が真夏ということもあってか、残念ながらここまでは着物が関わる可能性は見えてこない。
ある意味で、チーム着物2020の最後の砦で最大の目標は、サブリーダーの高倉慶応氏が5年の歳月をかけて作りあげた、世界213の国と地域の着物を、東京オリンピック開会式の檜舞台で使って頂く事だ。
既に、経済産業省の審議官大内聡氏と高倉慶応氏を伴って、東京オリンピック・パラリンピック開閉会式の総合統括としてチーフ・エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターに就任されている狂言師・野村萬斎氏に、この着物プロジェクトの着物をアピールするためお伺いさせて頂いている。しかしながら、当然のこととは思うが、まだ具体的なことは何も決まってはいない。
この「五大陸着物コレクション」を繰り返し銀座シックス観世能楽堂にて開催することで、着物の魅力をしっかりと東京都、オリンピック組織委員会、JOC、JPCにアピールする。そして、東京オリンピックの開催目的の一つである「日本文化の魅力を国内外に発信する」を達成することの一翼を担うことができれば、着物業界の一員としてこれに勝る喜びはないと思っているが、いかがだろうか。
第472号(2019/09/25発行)18面