「メルカリ」「ラクマ」、二大巨頭がシニア層獲得に向けフリマ教室開催
2019年10月22日
国内フリマアプリの二大巨頭「メルカリ」「ラクマ」が今、シニア利用者の獲得に拍車をかけている。メルカリはNTTドコモらと、ラクマはシニア女性誌「ハルメク」とタッグを組み、それぞれに"フリマ教室"を展開。シニア受講者は果たして、今後フリマを積極活用していくのか。意見に迫ってみた。
楽天はシニア向け女性誌「ハルメク」とラクマ教室を開催
ラクマ教室にシニア31人参加
「小さい『つ』ってどう打つの?」「あれっ、違うページに飛んじゃったわ」...不慣れなスマホ操作に、受講者から色々な声が漏れてくる。
ラクマを運営する楽天(東京都世田谷区)は9月、ハルメクと共同でフリマ教室を開催した。ハルメクの読者から31名のフリマ未経験者を集め、出品における基本と応用を2日間に分けてレクチャーした。「出品用写真には生活感が出ないように」との教えの下、受講者はそれぞれに持ち寄ったアクセサリーや財布などの不用品を、白紙の上に置き撮影していく。ものの数分で受講者の1人から、シャネルのアクセサリーに買い手がつくと、会場は沸いた。
5年前からスマホを持ち始めたという東京在住の70代女性は、「主人が趣味のゴルフ用品をヤフオク!で探し始めるようになり、私もフリマに興味を持った」と話す。それまでリユース店や買取店に物を売りに行った経験はなく、「要らなくなった物は全部捨ててきた」という。この日は印傳屋の財布を持ち寄り、800円で出品。その日のフリマ教室の手応えについては、「今日だけでフリマアプリの理解はまだまだ。勉強が必要です」と語った。
受講者の中には、フリマの便利さや楽しさを理解する一方で、「今後、フリマと店(業者)を使い分けていく」と話す人もちらほら。神奈川在住の60代女性は、「家電など大きなものは、今後も店にお願いする」としている。この日持ってきたのは、使わなくなったノンブランドの財布だった。「1400円で出してみたけど、まだ売れていない。でもこんな物はお店では高く買い取ってもらえないから、フリマに期待できるところはある」(同女性)
同女性のように、「フリマには不向きな商材」を自ら認識している人もいる。そのほか受講者の中からは、「今悩んでいるのは、家に溜まっている着なくなった洋服の山。近くに買取店もないし、フリマじゃ1点ずつ出品するのも大変」(東京在住60代女性)と漏らす声もあった。
楽天によると、ラクマのDL数は、今年7月時点で2000万。60代以上の新規登録数は3年で約30倍に成長している。中でも70代は、約50倍成長と特筆すべき数字だ。購入における人気カテゴリーは、60代で「食品」。楽天では農家とプロジェクトを組み、ラクマのレクチャーを行うなど米や野菜・果物の出品を促進している。シニアにとって、「買って運ぶには、重くて大変なもの」の購入取引が進んでいる。
楽天のC2C事業部所属の井出詩奈野氏は、「シニアのフリマニーズは増えているものの、まだまだアプリに登録することなどに懸念を持たれている方もいらっしゃる。そこを払拭できれば」と今回の開催経緯を語った。
今回のラクマ教室では、2日目の開始時点で3人の受講者に実際に買い手がつくなど、賑わいを見せた。
ドコモ34店でメルカリ教室
d garden五反田店(運営:NTTドコモ)でメルカリ教室
年間流通総額6000億円を超えるメルカリ(運営:メルカリ・東京都港区)。ラクマより一足先に教室事業に乗り出し、外部企業と、メルカリ教室のパートナー網を主要都市に拡大している。
パートナーの中でもビッグネームなのが、NTTドコモ。同社ではかねてより、ドコモショップでスマホ教室を行ってきており、その参加者の9割以上が60〜70代。ガラケーからスマホに変え、画面操作や、アプリの利用などに不慣れなお客らがこの教室を利用している。そこにプラスオンする格好で、現在全国34店鋪のドコモショップでメルカリの教室を開催している。
10月2日には五反田の店舗で開催され、60代以上の男女9人が集まった。実際にアプリDLから案内したところ、全員が完了するまでに20分近くを費やすなど、課題も見られた。
このメルカリ教室では、3日間を通して「アプリの使い方」「購入方法」「出品方法」を学べる。ラクマの教室とは異なり、この全3回のカリキュラムには出品の実践はないが、今後は4回目として同工程も追加するという。
第473号(2019/10/10発行)13面