FABRIC TOKYO、オーダースーツのD2C企業が再生素材使った循環型モデルに挑戦

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FABRIC TOKYO、オーダースーツのD2C企業が再生素材使った循環型モデルに挑戦

2019年11月24日

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Thinking of Circular Economy

オーダースーツ等のD2C展開で注目を集めるFABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ・東京都渋谷区)。同社は、スーツの月額制サポートを始め、将来的には回収した生地を再利用する完全循環型素材を使ったサーキュラーエコノミーモデルにシフト、リユースにおいてもあるべき形を模索していると言う。

森社長と峯村氏FABRIC TOKYO森社長(左)と峯村氏(右)

FABRIC TOKYOの創業は2012年。オーダースーツ等の男性向けビジネスウェアを販売する企業として、過去2期で200%の成長を遂げており、アパレル市場において注目を集めている。店頭で測った体型をクラウドに登録し、スマホから手軽にオーダースーツを注文できる仕組み。手頃な価格でオーダースーツを注文できる気軽さが受け、顧客リピート率は4割を超える。現在、東名阪で16店舗を運営する。

スーツの悩みサブスクで解消

同社は9月26日から、スーツの修繕等を行うサブスク「FABRIC TOKYO 100」を開始した。オーダーしたスーツは何着でも何度でも、月額398円(税込)でサイズ直しや修繕ができる他、スラックスが破れたりした場合は仕立て代の1万円のみで新品を受け取ることができる。スーツ購入から100日間は作り直しを頼むことも可能だ。

サービス開始から1ヵ月時点で、購入者のサービス付帯率は1割ほど。森雄一郎社長は「ゆくゆくは購入者の10割に使って頂けるサービスを目指す」と意気込む。今後は、オフシーズンの服を預かるサービス、パーソナルスタイリングや手入れ相談、クリーニングサポートなどを追加予定で、20年度中に新プランを開始する見込み。

また同社は、リユース業での取組みも模索している。体型などの顧客データを活かし、「FABRIC TOKYOとして出来る、あるべきリユースの形を模索している」(PR・HR 担当 高橋政裕氏)。

23年、衣類の「完全循環型」実現へ

同社は23年までに、製造する商品全てを完全循環型素材に切替える予定だ。もともと、埋めると土に還る素材で衣類を作る試みをしたこともある同社は、「サステナビリティ(持続可能性)において、先進的な取り組みを行うアパレル企業を目指します」(同社HP)とする。

完全循環型素材は、日本環境設計(東京都千代田区)と提携し、ポリエステルとウールに順次対応。店頭で回収した服の生地を溶かし、再精製して製造する。この完全循環素材が生地となった商品を、20年をめどにリリースする見込み。「23年中に全ての素材をサステナブル素材に切替え、廃棄ゼロ実現が目標」(森社長)。

循環型社会を目指す動きは、アパレル業界で顕著だ。H&M(スウェーデン・ストックホルム)は30年までに、素材を完全循環型へ切替えることを目標に掲げた。こうした持続可能性を重視する経済活動はサーキュラーエコノミーと呼ばれ、注目が集まる。「海外アパレルは、現行の大量生産・大量廃棄を改めなければいけないという意識がかなり高い」(クリエイティブ室室長峯村昇吾氏)。同社が23年に完全循環を達成すれば、世界的にも早い段階での実現となる。

ただし、回収、溶解、精製というプロセスを経て生まれる完全循環型素材は、通常の素材より高コストだ。欧州で完全循環型素材を用いて製造した服は、従来品より1割ほど価格が高い。一方で同社は今後の技術革新による低価格化を見込み、他社に先行して差別化を図るほか、「不要な服を店頭で回収することで新規顧客獲得、またSDGsなどの認知が拡大することで関心層を取り込んでいく」(高橋氏)としている。

サーキュラーエコノミー図解サーキュラーエコノミー図解(参考:FABRIC TOKYO)

第475号(2019/11/10発行)24面

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