チケットストリート、プロ野球球団公認リセール企業として転売禁止法の逆風を乗り切る
2019年12月03日
「明らかな転売だろ。チケスト潰れてくれ」「チケスト摘発も時間の問題でしょ」...SNS上でチケットのCtoC仲介サイト「チケットストリート」(以下チケスト、東京都品川区)への批判が飛び交う。6月にチケット不正転売禁止法が施行され逆風が吹く中、同社の西山圭社長は強気だ。むしろ事業自体は順調と言い切る。
チケストWeb(一部加工)
今回の転売禁止法により、SNS等では転売全てが違法との解釈が広まった。しかし西山社長の見解は異なる。「定価以上の転売全てが禁止されたかのような誤解が興行主や消費者にあるが、今回の法で明確な線引がされ、実際には合法の範囲は広がった」
西山圭社長
チケストが警察等と協議した上で出した見解では、現在違法となるのは「業として(複数枚の同一チケットを転売する等)」かつ「定価以上」かつ「特定興行入場券」を販売した場合のみ。この「特定興行入場券」に該当するのは、興行主の同意のない有償譲渡を禁止することが明記され、かつ券面に身分を確認したことを明記し、入場資格者を限定した券。
逆に言えば、業としてでも特定興行入場券でなければ合法になるため、業界にとっては追い風とみている。
チケットの高額転売全てが違法にはならない(参考:チケットストリート)
出品減を補うのはスポーツチケット
ただし、消費者心理は前向きと言えない。西山氏は、出品状況の監視を増やしたことと、ユーザーの萎縮によって、出品数は減少傾向であると話した。
そんな中で、チケストの打開策はこうだ。同社は8月から、プロ野球のロッテ、日本ハム、オリックス各球団の公認リセール企業として活動を開始。チケットが完売した試合でも当日1500~2000席は空くと言われ、空席のリセールを行うことで球場の観客増、物販増に繋げる狙いだ。また、今後も東京五輪で注目の増すスポーツチケットに注力する。現在もチケットの常時出品数は合計1万枚、累計利用者は100万人を超えており、事業自体は順調と西山氏は話す。
「行けなくなった人を救済、売却するのはファンの権利。チケットを捨てて泣き寝入りではなく、活用させる場所は必要」
第476号(2019/11/25発行)9面