海外の二次流通 連載 Vol.27
欧州のメルカリと言われる中古服サイト
手数料5%と送料は買い手が負担
Vinted(ビンテッド)
フランスではテレビCMも放映されている
米国、英国、フランスなど10ヵ国で事業展開
会員数2200万人、毎日1万5000人の新会員
Vinted(ビンテッド)は2008年12月にバルト三国の一つ、リトアニアでスタートした中古服、靴、バッグ、アクセサリーの売買・交換サイトだ。当初はレディースのみだったが、現在ではメンズとキッズも扱っている。米国、英国、ドイツ、フランスなど計12カ国で運営されており、現在、会員数2200万人を数え、毎日15000人のメンバーが参加している。フランスなどではテレビCMも行なっており、「欧州のメルカリ」と呼ぶ人もいるほど。
「欧州のメルカリ」と言ったが、Vintedのビジネスモデルはメルカリとは真逆で、手数料は買い手側から同社が出品価格の5%(VATという付加価値税、日本の消費税のようなものを含む)と保証料として0.7ユーロを徴収する。送料も購入者負担で、複数の運送会社から(料金や利便性が異なる)買い手が指定することができる。出品者に優しいシステムなのだ。
もう一つの特徴は取引がシンプルで手間いらずなことだ。プロセスごとに自動的にメッセージが届くようになっており、基本的に出品者がやることは、出品→商品の発送手配と発送→評価(任意)のみ。かなりの割合で値引き交渉もあるようだが、それもメッセージでやりとりするわけではなく、買い手が希望の値段を送ってくるので、出品者は「J'accepte(交渉成立)」か「Refuse(交渉却下)」のボタンを選ぶだけだ。
買い手側に荷物が届いた時点で「配送完了」のメッセージが届き、追跡も可能だ。荷物配送後にサイト上の「Porte-Monnaie(おさいふ)」に入金されるので、それを自分の口座に移して完了となる。
創業9年目の2017年に黒字化を達成
起業が盛んなリトアニア最大の成功事例
買い手の方も、やらなければいけないのは、代金の支払い→到着した商品の確認→評価(任意)のみだ。出品者と買い手でメッセージをやりとりし、共通の話題で盛り上がるようなことも稀にあるようだが、基本的にはテキスト入力がない仕組みになっている。
リトアニアは、経済省傘下の「スタートアップ・リトアニア」が起業を支援しており、税制や社会保険料の優遇、海外からの投資の誘致などを政府が主導して行なっている。2017年末時点で約360社のスタートアップがあり、Vintedはその中で最大の成功事例だ。スマホなど携帯端末からのアクセスが多く、若者に人気がある。2017年11月には創業9年目で初めて黒字となった。
第477号(2019/12/10発行)12面