コロナ下の買取規制 家具や古着に
2020年06月22日
コロナ下で買取りのルールを見直す事業者が増えている。従来輸出に適していた古着や家具等は、フィリピンやマレーシアでの都市封鎖によって受け入れてもらえず、日本では買取りを控えざるを得ない状況だ。また、買取利用客による店内混雑や長居を防ぐ観点からも、買取りに応じる商材幅や買取対応時間を制限するなど、店舗側には対応の変化が求められている。
海外輸出が止まり古着が滞留している
遺品整理現場で家具買い取れない
倉庫にモノが溜まっていくばかり。とにかく早くオークションが再開してほしい。
業者取引や遺品整理等で集めた家具や雑貨をフィリピンへ輸出している相場屋(兵庫県明石市)では、輸出が止められている。現地では3月半ばから都市封鎖となり、古物市場が休会。従来は月にコンテナ3〜4本を送り、1本で最高手取りが100万円にもなっていたが、今は現金化ができず売上が立っていない。
倉庫にはコンテナが滞留、こういった状況では、同業者から買取ることができるのもせいぜい食器やバッグなど小物ばかり。大型の家具は、倉庫がひっ迫しているため受け入れができないでいる。現在は、遺品整理やネット販売で何とかつないでいる状況という。
「家1軒で20万円程度の片付け費用から、例えば輸出向けにワードローブの無垢な洋服ダンスと食器類を合わせて5万円で買い取れれば、その分を差し引いてあげていた。だが今は、お家にモノがあっても買取りには応じてあげられない状況」(杉井資康社長)
同じくフィリピン輸出を行うリユース店の遊遊市場(東京都足立区)でも、買取価格を調整。食器は1kg2円、ぬいぐるみは同10円、工具は同30円に値下げ。同店のスタッフは、「皆さま今やれることと言えばお家の片付け。捨てるよりかは安くても買い取ってもらいたいということで、持ち込みの数は今でも絶えない」と話す。
買取制限の状況
古着の持込に予約制 キンファミは買取を値下げ
マレーシアの都市封鎖の影響も大きい。現地では洋服店などの販売施設が休業状態であることに加え、これまでマレーシアがハブとなって近隣諸国に古着を行き渡らせる役割を担っていたが、それができずにいる。
福岡で子ども用品のリユース店を3店展開するポストアンドポスト(福岡県福岡市)では、買い取った商品の一部をマレーシアに流していた。同社は4月9日から休業し、5月18日より営業を再開。同月26日から店頭買取を再開したが、すべて予約制とした。ネット上から希望日時を選択するだけだが、対応できるのは1店で1日18枠のみ。これまで休日で最大50組が買取りで来店していたが、当面は今の仕組みで客数を限定し買取量を抑える。
ミルク染みの目立つベビー服や袖の伸びた子ども服など状態が悪いもの、パーツ不足の育児用品は自己判断で持ち込みを控えてもらうなど対策をとっている。
吉田照喜社長は、「買取りのお客様はもともと多く、今までと同じままでは密集を作ってしまうので」と注意を払う。店頭買取の予約制を開始後、2日で134人から予約を受けたという。
古着店チェーンを展開するKurokawa(兵庫県高砂市)では、キングファミリーの直営・FC全店の8割以上で買取定休日の設定や買取時間の短縮をしている。同社では買い取った生活古着の7割をカンボジアやマレーシア等に流しているが、現在は現地の経済活動停滞の影響で状況は苦しい。
国内の販売では3月以降は売上が例年の半分程まで落ち込んだ店舗もあったが、買取は例年の9割程度と影響は軽微。これが物語るように有事での買取需要は底堅さを見せたが、例年買取ピークを見せるゴールデンウイークは今年、買取休止をした店舗もあった。結果GW明けには、1日の持込量が例年の1.5〜2倍となる店舗が出るなど、外出自粛による断捨離ブームの影響が数字に現れた。
現在は店舗によるが、1家族の持ち込みを5袋に限定したり、1kg150円の量り買いを1kg50円に変更したりするなどしている。
激安古着店「たんぽぽハウス」を都内で展開するヴァンベール(東京都中央区)は、全店で6月末まで店頭買取を休止。取り扱いのメインがノンブランドのため、気軽に持ち込まれてしまった場合の店内混雑を危惧したという。
激安古着店では買取りを中止している
第489号(2020/6/10発行)14面