~遺品ダイアリー~
思い手に寄りそって Story13
親の高齢化で危機に直面する引きこもりの子どもは少なくありません。今回はそんな子どもを救った生前整理のエピソードをお届けします。
七助のHP。屋号は手掛ける7つのサービスに由来する
整理士との会話で希望見出し
引きこもり卒業した30代男性
エンシア(埼玉県さいたま市)が運営する七助の安部公之助代表の前職は病院に勤務するソーシャルワーカー(精神保健福祉士)だ。患者だけでなく家族や医療機関とコミュニケーションを取り、人の気持ちを理解し汲み取ることで、課題解決に結びつけてきた。そのスキルは生前整理の現場でも活かされている。1年ほど前、安部代表はアパートを所有する高齢者の後見人から、そのアパートの一室を片付けて欲しいと依頼された。
そのアパートは近く取り壊される予定だったが、その部屋に住む30代の男性は長年引きこもっており、母親が入院しても出て行ってくれない。家賃もずっと滞納している。後見人は住み込みの仕事まで探して来て退去を促したが、応じてくれなかった。仕方なく、強制退去の前に部屋の片付けをすることにしたということだった。
少しの手助けで人生は好転する
引きこもり男性のアパートは半ゴミ屋敷状態だった
安部代表がその家の一部屋で整理を始めると、隣の部屋にいる男性がポツリポツリと自分の不安を語るようになった。「この家が片付いたら、僕はホームレスになるんでしょうか?」、「住み込みの仕事があるっていうけど、ずっとそこでやっていけるか、不安なんです」
第496号(2020/9/25発行)19面