ファッション・ホビーのリユース店として知られる買取王国(愛知県名古屋市)には、高額ブランド品等の買取・販売を専門とする「Reco(リコ)」という店舗がある。顧客の75%は40代以上と、一般的な買取王国よりも年代層が高い。リコ黒川北店の店長で同ブランド・貴金属商品部でリーダーも務める松下康弘さんは、買取りに出すかどうか迷っているお客にも、気持ちのいい接客で最終判断の手助けをする。
「使う?使わない?」最終判断を手助け
買取りのお客はソファーに通され、一対一で接客を受けることができる
気持ちいい接客、シニアから評価
「こちらをお持ち帰られたとして、またお着けにはなりますか?」
カルティエのアンティーク時計を手に、売りに出すか、持って帰るかを悩んでいる60代の女性に、松下さんはこう問いかけた。20代の頃、毎週百貨店に足を運んで品定めし、ボーナスが貯まってやっと買うことができたという贅沢品。そんな思い出を語りながら、女性は買取金額に期待を寄せた。だが実際には、期待値以下の金額を提示され、売るかどうか尻込みした。
「お持ち帰りして、またタンスにお戻しするようですと...、置いておけばおくほど劣化もしてしまいますし...」
買ってから40年近く経過している時計のため、また身に着けるとなれば修理が必要そうなコンディション。修理となればお金もかかりそうなものだった。「はめるかな。それとも、もうはめないかなぁ」。自問自答を続ける女性とのやりとりは、30分を超えた。
第510号(2021/4/25発行)15面