本屋×喫茶店の業態「ブックカフェ」が巷に広がって久しい。近年は蔦屋書店の出店等で、いわば戦国時代の様相を呈している。地方で話題となっている注目店を集めた。
- 古本と珈琲モジカ
- 京都府福知山市
こだわり蔵書が1万冊
近現代日本文学や海外翻訳文学などが置かれる(古本と珈琲モジカ)
古本と珈琲モジカ(京都府福知山市)は2014年に開業したブックカフェ。蔵書数は1万冊を誇り、ジャンルは近現代の日本文学作品や海外の翻訳文学などさまざま。「数珠つなぎ」(西村優作店長)を意識した本の置き方で、ファンを魅了している。
棚から一冊の本を抜くと、その作品に影響を及ぼしたとされる作品が近くに並ぶようにしてある。たとえば、宮部みゆき氏の作品を棚から抜き取れば、「捕物小説」(江戸時代を舞台に事件を解決する推理小説)や松本清張氏の作品が近くには置かれている。「真新しい考えや物語のように見えても、実はそこに影響を与えた存在が必ずいるもの。それを知ってもらえたら」と西村さんは説明する。こうして本好きのお客に、本選びの楽しさを提供している。
また、レファレンス(本探しの相談)も特徴だ。西村店主は会社から「本好き」を見込まれて店長を任された経緯があり、「オススメ本」を紹介できるため、お客は本の知識がなくとも店内を十分に満喫することができる。同店は京都北部のいわゆる地方都市に位置するが、近隣の神戸や大阪からわざわざ来るお客もいる。
第512号(2021/5/25発行)17面