「ささげ」とは、EC出品作業のうち「撮影」「採寸」「原稿」の頭文字を取った用語だ。出品数、すなわち露出の高さが売上に直結するEC販売において「ささげ業務」の改善は不可欠といえる。今回の実態調査ではEC売上や比率を伸ばす4社から聞いたノウハウや、業務効率化システムの内情をお伝えする。
- 質問事項
-
(1) 取扱商材(2) 全体従業員数(3) 出品業務の対応人数(4) アップ先のECサイト(5) 1日あたりの出品商品数(6) 1商品あたりの平均写真枚数(7) 作業場所(8) 主な導入ツール(9) おおよその年商(10) 実店舗に対するネット販売比率
コメ兵HD
- (1) ブランド衣類、ブランド雑貨
- (2) 940名(パート除く)
- (3) 45名程度
- (4) 自社EC/イーベイ/Chrono24/ヤフーショッピング/ヤフオク/楽天
- (5) 500点
- (6) 6~7枚
- (7) 商品センター
- (8) 内製の出品アプリ/Zenfotomatic/ユニサイズ
- (9) 507億円
- (10) 40%台
商品のほとんどを公式ECで買える
作業能率「ランク制」でモチベUP
中古ブランド大手のコメ兵HD(愛知県名古屋市)はEC経由での販売(=ECサイト関与率)がコロナ以前の28%から、40%台に上昇。ここ数年でシステムを導入し、効率化を重ねてきたことが功を奏した。
同社は2000年からECを開始。現在はオムニチャネル化を推進しており、商品のほとんどをネットでも店頭でも買える。ささげ業務は物流と品質管理の拠店となる「商品センター」で実施。コンデジで撮影した商品画像はPCに転送され、自動で画像編集、また半自動で原稿ができる。「サイズや状態などはタブレット上のボタンや、テンキーを押すだけで可能」(WEB事業部 甲斐真司部長)。
当時は原稿や写真撮影、データ転送に手間がかかり、1日30品が限界だったという。現在は撮影、原稿が半自動化されており、シャッターやボタンを押していくことで出品作業が進む。1日500点、月間1.5万点をまず自社ECに、そしてシステムでつながった複数のECに対し出品している。
衣類が一番の売れ筋である一方、採寸の手間もかかる。そこで従業員のモチベーションを高める仕組みとして作業効率によるランク制を導入。勤務当日の進捗がわかるチェックシートを配布。達成度に応じて責任者がシールをはり、手書きメッセージを書く。やる気の向上につなげている。
またオンラインで試着時のサイズを確認できる「ユニサイズ」を導入。販売率を上げ、返品率を下げる工夫だという。現在、EC関与率50%台を目指しており、今後もEC向け施策を重ねていく考えだ。
WEB事業部
甲斐真司部長
第522号(2021/10/25発行)16,17面