ブランド品の真贋判定が分かる古物商向けサービス
2024年02月19日
バッグや時計、ジュエリーなどのブランド品は古物の中でも人気の商品です。古物商の方がブランド品の買い取りや仕入れを始める際に、必ずと言っていいほど悩むのが「真贋判定」です。偽物を買い取ったり、仕入れてしまったりした場合、その額がそのまま損害となってしまうため、不安でなかなか踏み出せないという声をよく聞きます。そこで、真贋について心配することなく事業が始められるサービスを行っている会社を紹介します。
目次
リサイクル通信について
リサイクル通信は2000年2月に創刊したリユース・リサイクル業界専門の新聞を発行している新聞社です。中古品の動向、リユース・リサイクル企業を取材しており、マーケットや企業の動向に関する情報を発信しています。主に古物商や古物市場、質屋、リース、レンタル、リペア事業者、新品小売流通企業の方々にご愛読頂いています。
1:中古品における真贋判定とは?
真贋(しんがん)判定とは本物かそうでないかを見分けることです。中古品を扱う古物商において、取り扱う商品によって真贋判定は非常に重要となります。メーカーから仕入れた商品を販売する小売業と異なり、古物商は個人等から買い受けて販売を行うため、その商品が本物かそうでないかを見極めて買い受ける必要があります。
偽物の多い中古品商材とは?
古物の中で偽物が多く見られるのが、骨董品、古美術品やブランド品です。また、近年では、価格が一部で高騰していることから、スニーカーやトレーディングカード(トレカ)でも偽物が多く流通しているようです。
偽物を販売すると、商標権の侵害や詐欺罪に問われる場合がありますので注意が必要です。知らずにネットモール等で販売した場合でも、アカウント停止処分を受けることがあります。近年、ネットモールは偽造品の排除に力を入れているため、今後も偽物の販売に関する取り締まりは、より厳しくなっていくでしょう。
海外からの偽ブランド品も多数
2023年に財務省が発表したデータでは、2022年の税関における知的財産侵害物品差止め件数は2万6972件で前年比より減少していますが、点数ベースでは88万2647件で前年比7.7%増、総額およそ186億円に上ると推計。中国が大半で、その他ベトナムや台湾からの流入が目立つ結果となりました。
財布、ハンドバッグ等の偽ブランド品など、「商標権侵害物品」にあたるものは2万5705件と、その殆どを占めています。税関が弾ききれなかった品物が国内流通する恐れもあり、様々な場面の買取で真贋判定は重要です。
2:真贋の問題をクリアする3つの方法と注意点
独学を除いてブランド品の真贋問題をクリアするには、主に3つの方法があります。
・ 自分で真贋判定できる力を養う
・ アプリを使って真贋判定を行う
・ 外部の会社に真贋判定を依頼する
1つ目の「自分で真贋判定できる力を養う」場合のメリットとして、自分自身に真贋の知識が身に着くため、新たなタイプの偽物が登場した場合に応用がきく場合があります。一方、デメリットとしては、習得するまでに一定の時間がかかる点です。
2つ目の「アプリを使って真贋判定を行う」は、主にAIによって真贋が行えるアプリを利用する方法です。メリットとしては、すぐに買取や仕入れを行うことができる点です。デメリットとしては、何点か商品の特定箇所を撮影する必要があるため、ネット上の商品の真贋には不向きな点が挙げられます。また、ツールによって、対応していないブランドがあったり、真贋の精度が100%ではなかったりするため、万能ではない点には注意しましょう。また、利用には料金がかかる点も考慮に入れておきましょう。
3つ目の「外部の会社に真贋判定を依頼する」のメリットは、すぐにでも真贋が行え、買い取りや仕入れを始めることができる点にあります。ただ、注意点としては、2つ目と同じく特定箇所の画像を送って確認してもらう必要があるため、ネット上の商品には向かない点や、真贋依頼の点数に制限がある点には注意しましょう。また、無料で真贋を行ってくれるサービスでは、相手先に商品を売る必要があったりするので、依頼可能な点数や制約などは利用前に事前に確認をしておきましょう。
判定できるだけでは商売はできない
真贋判定とは、あくまでそのものが本物であるか、そうでないかを見分けることです。そのため、ビジネスではその物の価値を値段で評価する「値付け」を行うスキルが必要になります。「鑑定」を行うには真贋判定と値付けこの2つのスキルが必要になります。
次に紹介する講習やスクール、代行サービスでは、真贋判定だけでなく値付けの能力も一緒に養うことができるものが多くあります。
3:真贋を研修で教えてくれるセミナーや講習会
真贋の方法を教えてくれるセミナーや講習会を紹介します。真贋判定ができるだけでなく、値付け等も学べることから鑑定に関する知識を身に着けることができます。
日本流通勉強会
ルーチェが主催する日本流通勉強会の真贋鑑定セミナーです。ブランドバッグ、時計、貴金属、ジュエリーの真贋を始め、買取の知識が身に付きます。同社では「JDSオークション」という古物市場の運営も行っていることから、実際に物を見ながら学べ、オークションで相場の知識を身に着け、実際に買ってみるなど実践的に学ぶことができます。セミナーの会場及びオークションは、東京と大阪で開催。オークション開催日の前日にセミナーを実施しています。
東京リユーストレードセンターアカデミー
アプレが運営するセミナーです。ブランドバッグの真贋を始め、時計、貴金属、ダイヤモンド、カラーストーンなどの真贋を学ぶことができます。ブランド品の真贋や時計は1日で、ダイヤモンドは2日で学ぶことができます。開催は、会場(東京都御徒町)またはオンライン(Zoom)で行っています。
Eye job (東京鑑定士学院)
リユース商品買取専門知識を習得できる専門学校がEye job(東京鑑定士学院)です。幅広い商品に対して鑑定技術や知識が学べるのに加え、国内外の販売方法についてもレクチャーを受けることができます。アプレイザーコースでは、全8日間(65時間)でブランドバッグ、時計、貴金属、宝飾品、カメラについて真贋、査定のポイントを実物を用いて学ぶことができます。
monobank質屋学校
ブランド品等の古物市場を運営するものばんく(山口県下関市)が運営するスクール事業が「質屋学校」です。オンラインで宝石、時計、バッグ等の真贋を始め、相場など鑑定に必要なスキルを学ぶことができます。質屋でなくても参加することはできます。
サリナス研究所
鑑定専門会社のサリナス研究所が行う鑑定講習会です。鑑定士を派遣して講習を行っています。ブランド品、時計、宝飾品について学ぶことができます。金額の査定についても学べるため、真贋判定だけでなく鑑定が行えるようになる講習会です。
4:AIによる真贋アプリを提供する企業
AIによる真贋判定のアプリを提供している企業を紹介します。自分の真贋判定に不安な方や、自信が持てない、分からない商品が持ち込まれた際に利用するお守り的な役割を果たします。また、自信の見解と答え合わせをすることで、真贋力を磨くことにも活用できます。
エントルピー
AIによるブランド品(バッグ)の真贋判定アプリを提供しています。専用端末で商品を複数個所撮影することで真贋の判定を行います。鑑定書も発行しており、万が一鑑定結果に誤りがあった場合は、金銭的な補償も行ってくれるため、安心して利用することができます。
エントルピーは、ニューヨーク大学の研究者がAIによる画像診断技術を商用利用できるように2012年に立ち上げたスタートアップ。4年間で1000万件以上の「本物・偽物」画像を収集し2016年秋からアメリカでサービス提供を開始しています。
超越「Check Goods(チェックグッズ)」
スニーカーやブランドバッグ、時計に対応。アプリを用い、オンライン上の鑑定済み画像を収集・学習したAIが真贋を行います。指定の箇所をスマホカメラで3~9枚撮影し、都度、画像をアップロードする。撮影後に「鑑定する」を押すと同社のデータベースと照らし合わせて鑑定を行います。
5:真贋を代行してくれるサービス
自分で真贋判定を行うのは不安という方は、代行サービスを利用すると安心です。
AACD(一般社団法人日本流通自主管理協会)
AACDは、偽ブランド品の流通排除を目指す協会です。会員向けサービスとして真贋の代行を行っています。会員であれば500個までは無料。以降は1個当たり500円で行う。独自の基準で基準内と基準外で判定を行っています。
らくらく査定(日本オークション協会)
ブランド品等を扱う古物市場(JWA)を運営する日本オークション協会による真贋鑑定サービスです。真贋判定を依頼した商品をフォームに入力、画像のアップロードを行うことで依頼できます。真贋判定と買取の金額保証もついてきます。
Myblex(マイブレックス)
ブランド品真贋鑑定研究の専門企業。ディノライトという顕微鏡を用い、ミクロ視点での分析・鑑定。遠隔でのサポートサービスを行っており、保証付きで初心者でもすぐに買取が始められるサービスを提供しています。
「SHINGAN」(ジーエフエックス)
ブランドバッグや洋服、スニーカーなどファッションアイテム全般。エルメスやコムデギャルソン、ナイキなどラグジュアリーからファッション、スポーツ系を含め300ブランド以上を対象。リユース業界歴10年以上のスタッフが真贋を行う。
6:初心者におススメの方法とは?
何から始めていいか分からないという初心者の方であれば、ツールの活用や外部の会社に真贋を依頼することをおススメします。それと並行して講習会やセミナーに通い、ご自身の真贋判定のスキルを培うと良いでしょう。真贋能力を身に着けるにはある程度の時間がかかるため、それまでは外部のサービスを利用し、真贋に慣れてくれば、ツールや外部の会社への依頼は判定が困難な商品に出会った場合や自信が持てない場合などのお守りや保険的に活用していけば良いでしょう。
7:まとめ
ブランド品における真贋判定について理解は深まりましたでしょうか。ブランド品を扱う古物商にとって真贋判定は必須のスキルといっても過言ではありません。
偽造品は年々精巧になっており、真贋判定の能力は日々アップデートが求められます。初心者の方にはハードルが高く感じるかと思いますが、さまざまな始め方がありますので、自分に合う方法で、偽造品を仕入れるリスクの排除につなげて頂ければと思います。
リサイクル通信では、全国の古物商の取材を始め、経営・営業活動に役立つ支援サービスの取材も行い情報を発信しています。
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