パワハラ対策、4月から中小も義務化

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パワハラ対策、4月から中小も義務化

2022年02月04日

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4月より中小企業にも義務化される「パワハラ対策」の準備は進んでいるだろうか。真摯に取り組むことで、離職の食い止めや不正行為の抑止につながっているリユース店の例も出てきている。コロナ下のストレスがハラスメントを増長するとの声も聞かれ、未着手の企業はコトが重大化する前に手を打っておきたい。

「ハラスメント及び不正行為に関する通報窓口」のポスターを掲載ハードオフグループでは「ハラスメント及び不正行為に関する通報窓口」のポスターを掲載(提供:大宮電化)

パワハラ対策、4月から中小も義務化

20年6月に大企業に施行されていた「パワハラ防止法」(正式名称:改正労働施策総合推進法)が、今年4月から中小企業にも施行される。パワハラの定義は〈表①〉を参照してほしい。また、具体的に何を準備すればよいかは厚労省が4つの大項目を示しているが、独自に小項目に分けて解説している、日本ハラスメントリスク管理協会(東京都千代田区)の認定基準〈表②〉がわかりやすい。

〈表①〉厚労省の情報より
パワーハラスメントの定義
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③ 労働者の就業環境が害される
これら3つの3つの要素を全て満たすものをいう
パワハラの6類型
① 精神的な攻撃 ② 身体的な攻撃 ③ 過大な要求 ④ 過小な要求 ⑤ 人間関係からの切り離し ⑥ 個の侵害
〈表②〉日本ハラスメントリスク管理協会では12項目でハラスメント対策を行うことを推奨
大項目 小項目
周知 ① トップからの宣言がある
② 管理職に研修をしている
③ HPや社内掲示物などで啓蒙している
相談体制構築 ④ 相談窓口の連絡先や担当者名を明確にしているか
⑤ 迅速に解決に当たっている
⑥ 相談先を複数設けている
処分と再発防止策 ⑦ 就業規則や社内規定に罰則を設けている ※就業規則の届出必須
⑧ 行為者への再発防止のための施策を講じているか
⑨ ハラスメントを隠蔽していない
機密保持 ⑩ 相談者への配慮
⑪ 第三者(聞き取り対象者)への配慮
⑫ 相談内容が漏れないよう工夫する

エリア長が店を定期巡回

リユース店を展開する上場企業のワットマン(神奈川県横浜市)は、パワハラの法整備以前から対策を進めてきた1社だ。離職率16.7%と直近で最も高かった17年より、従業員のエンゲージメント(会社や仕事に対する思い入れ)を高める施策に努めてきた。「パワハラ抑止にもなる取り組みを重ねてきた」(人事・総務グループグループ長 倉谷尚雄氏)

誠実に取り組んでいる従業員が、同僚の不正・違反行為を見つけて辞めてしまう―。働く人のやる気の阻害や離職は残念なことと考え、同社が行っているのが「スピークアップ制度」だ。倉谷氏のみに相談・報告できる連絡先を開設し、年間1~3件が寄せられている。内容がパワハラの場合は、「半数程度が過剰な指導として確認できるものだった」。相談者の匿名性を約束した上で、相談者の在籍する店舗にエリア長が赴き、周辺に聞き込みする。事実と判断すれば、相談者の希望に沿い然るべき指導を行う。

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第528号(2022/1/25発行)24面

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