古書店でお客の承諾得た買取金を寄付、利益減らさず社会貢献
2022年04月12日
古書会津野(福島県大沼郡)が買取金額の一部を子ども食堂に寄付している。古本を仕入れる際に、お客に慈善活動について提案し、承諾を得られた場合はその買取金額を寄付する形。そのため、事業の利益は維持したままで、社会貢献にもつなげられている。
子ども食堂の様子
長谷川洋一店主はフリマアプリの台頭で、一般消費者が業界に参入してくることを懸念。どう差別化するかを考えた際、事業者として社会貢献することだと思い至った。そこでバリューブックスなどの様々な事例を参考にし、古本の買取金額をお客にではなく慈善団体に渡すことを決めた。同氏はこれを「古本基金」と名付け、今では古本を売りに来たお客の9割近くが寄付へ回すことに同意するそうだ。
古本自体も寄付している
また、社会貢献だけでなく、作業効率の向上にも利点がある。お客が「古本基金」での買取りを希望した際、同氏はいつもその古本を事務所に持ち帰っている。寄付の場合であれば、お客にその場でお金を渡す必要がないため、自分のペースで査定ができるからだ。一方で、今までの店頭買取や出張買取では、お客の目の前で急いで査定する必要があり、1冊1冊を丁寧に扱えなかった。
長谷川洋一店主
2019年から始め、初年度の寄付額は10万円で、2年目が12万円。2021年度が25万円と、年々増加傾向にある。直近の寄付額が急増した理由としては「会津の初市と呼ばれる催しに出て、地道に挨拶をしたから」だと同氏は分析する。今後は移動本屋のようなこともやりたいと、意気込んでいる。
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