小中高生、PCが身近に「学び舎」でリユース品活躍
2022年05月20日
プログラミング教育の必修化や、大学入学共通テストに「情報」が追加されるなど、教育の中身がひと昔前と比べ様変わりしてきている。オンライン授業も浸透し小中高生にとってパソコン(PC)が身近なものになる中、「学び舎」でリユースPCが活躍する事例も生まれている。若年層への中古品循環が上手くハマれば、新たなマーケットを作り出せそうだ。
IT企業の端末を高校生に譲渡
CLACKが高校生向けに展開するプログラミング学習教室のTech Runway
週2回、3ヵ月間通い、ゲームやサイトを作れるプログラミングを習得、エンジニアや大学生と会話して将来イメージも膨らませる―。困窮家庭の高校生を対象に、無償でPCを支給してプログラミング学習を提供する「Tech Runway(テックランウェイ)」は、大阪市と堺市に教室を構える。
これを運営するNPO法人CLACK(クラック、大阪府大阪市)の平井大輝代表はひとり親家庭で育った原体験から、困窮家庭の高校生にプログラミング学習支援の教室を立ち上げた。「経済的理由で進学を諦めて就職する場合、知識やスキルが不足した状態では収入が低い職業や非正規での雇用に繋がりやすく、大人になっても貧困から抜け出せない。貧困の連鎖を食い止められる最終ラインが高校生だと判断し、高校生に限定し支援しています」(平井氏)。2018年10月より始めたテックランウェイではこれまで100人近くを輩出。3ヵ月経つと、支給したPCは生徒のものとなる。
困窮家庭の高校生に、プログラミング学習を行えるよう、企業から譲り受けた使用済みPCを循環させるプロジェクト「Pass the Baton」(パズザバトン)を展開
この事業に賛同したメルカリなどIT系企業らにより、社内で使用を終えたPCがクラックに寄贈される「Pass the Baton(パスザバトン)」の取組みが広がっている。パスザバトンでは、法人向けにPC提供などを行うパシフィックネット(東京都港区)とパートナーシップを結び、パシフィックネットが企業に寄贈を呼びかけ、またPCの引取り・データ消去・再生の作業を請け負う。企業はコスト負担なく端末を手放すことができ、それを受け取るクラックは高校生に支給することができる。パシフィックネットはデータ消去にかかる作業代をクラックから得、営利面でのメリットも生まれる。三方良しとなる。
第535号(2022/5/10発行)28面