トレカ店のいちご屋オリパ、フリマアプリ販売から現2店舗経営
2022年08月03日
前職の知恵が勝算に
いわゆるオリパの販売が強み。当たりの的中率を高くしているそうだ
前職がパチンコメーカー
代表の澤田裕貴さんは昨年に開業するまでパチンコ機械メーカーで4年ほど勤めていた。
その後コロナ禍で社会の変化を実感した澤田さんは副業を決心。それまで趣味で触れていたトレカを、フリマアプリ「ラクマ」でオリパ(福袋のように当たりとハズレを入れたトレカのまとめ売りの手法)として販売を開始した。勝算を考える中で、市場に出回っているオリパの的中率が、業態によっては著しく低いという気づきを得た。トレカ専門店のオリパの的中率は高いが、一方でリサイクルショップ系の的中率は低い――。
「前職ではお客が賭けるか諦めるかの分岐点を経営者目線から考えていた。いわゆる勝ちイメージがないと人は買わない。それをオリパにも応用した」と澤田さん。
一口(1パック)あたりの平均販売単価は1万円以上と高く設定したが、その分的中率も上げるというやり方を展開し、的中率に敏感なファンからの支持を、急激に集めていった。
利益を後回しにしたその手法は、ドラゴンボールのトレカを辛口レビューするYouTuber「サクサク/くだらん」氏(チャンネル登録者12.9万人)にも動画内で高く評価され、それをきっかけに同店の売上は急増した。
スマホから始める
澤田氏は当初フリマアプリから販売を開始。「極端な話、中古トレカは手元に1万円があればネットで事業を始められる」という。このほか、magi等でもオリパの販売を展開していたが、だんだんとフリマアプリ上での販売規制が強くなり、現在は主にBASEを販路とする。同プラットフォームは比較的オリパの販売にも寛容だそうだ。今は、月額約6000円を払って2.9%の手数料で利用できる「グロースプラン」を採用し、以前よりも経費を低く抑えている。
古物商取得は自力で
古物商許可証は自力で取得した。YouTubeやwebサイトで上がっている情報を集めれば問題なく必要書類を作成できたという。「外注はあまりおすすめしない。警察署に行けば丁寧にやり方も教えてくれるのでは」(同氏)
一番苦心したのが集客だった。顔が見えないネット専門店のため、顧客との信頼関係構築を怠ればとてもやっていけないと考えた。的中率の高いオリパの内容はもちろん、梱包や手紙や独自のラインスタンプなどにもこだわることで、丁寧さを表現。前出のYouTuberは同店のトレカを購入した際、「安心感がある」などとコメントした。同氏の動画で取り上げられて以降、それまで1~2ヵ月かけて売れていた商品が、たったの数日で完売した。
澤田裕貴代表
第540号(2022/7/25発行)25面