先日「バイセルテクノロジーズ、買取店『むすび』の株式取得で基本合意」「オークネットがデファクトスタンダード(ブランディア)とJOYLABを買収」という2つの記事が、リサイクル通信から出ました。今回はそれぞれのニュースの背景にある「買取専門店」と「古物市場」の生き残り戦略について考えていきたいと思います。
まずはバイセルテクノロジーズのM&Aですが、同社はここ数年でWAKABA、ブランドピース、今回のむすびと立て続けにM&Aを重ねています。またそれ以外の複数店舗展開の買取専門店への接触も図っています。その背景にあるのは、主力の出張買取事業の安定成長に陰りが見られることです。
直近の決算では、出張訪問数は前年度比で7.3%増加したものの、出張訪問あたりの広告宣伝費は、1万9628円と18.2%も増加しています。結果として出張訪問あたりの変動利益は減少しました。無店舗で出張買取を行う同社の元々のモデルから離れ、店頭買取による買取量の純増と、実店舗があるという信頼性が出張買取に繋げやすいという効果を見込んで、M&Aによるリアル店舗の展開を強化していると思われます。今度就任されるリクルート出身の新社長による、店舗運営の標準化と組織マネジメントにも期待です。
個人店は小さな商圏狙い、大手がやらない戦略を
第579号(2024/03/10発行)5面