SPECIAL REPORT
お客に依頼された中古品の買取りを、断らなければならないケースが出てくるかもしれない。中国ルートが閉じてしまったことと、国内の2つの法律が改正されたためだ。売れ残りを「有価で他社やバイヤーに売却していた」リユース企業は、特にその可能性が高い。
お客が買取りを依頼してくる不要品の中には、中古品として国内で売れるかどうか微妙なラインのモノもある。また、売れると思って買い取った商品でも、売れ残り処分しなければならなくなることがある。リユース店の中には、そうしたものを他社に卸したりバイヤーに売る所が少なくない。
特に家電4品目は、処分する時に家電リサイクル料金がかかるため、極力どこかに買い取ってほしい。その受け皿が、中国だった。家電には資源価値があるとして、中国系企業や中国系企業と取引のある国内業者、中国系バイヤー等が無償・又は有価で買い取っていた。
しかしここにきて、中国が国として態度を変えた。ゴミの基準を引き上げて、ゴミの輸入を厳しく取り締まるようになったのだ。中国の環境汚染問題がセンセーショナルに報道されたせいだとか、経済成長で余裕ができて環境・エコに関心を持ち始めたのが理由など言われている。いずれにせよ、中国ルートは閉ざされてしまった。
バーゼル法と廃掃法の改正
さらに、日本国内でも「廃掃法」と「バーゼル法」が昨年6月に公布されこれから施行される。電気製品がぐちゃぐちゃに積まれた状態の、所謂「雑品スクラップ」を取り締まるためだ。
積まれた雑品スクラップが港湾や内陸で火事を起こしたり、輸出先で環境負荷をかけるという問題が生じていたが、資源価値があり「有価」であるために「廃棄物」とみなせず、規制をかけられずにいた。そこで、ゴミに関する法律の「廃掃法」で「有害使用済み機器」と新しく定義。ゴミ輸出に関する法律であるバーゼル法においては「特定有害廃棄物」の規制対象に含めることを法的に明確化した。これによって、廃棄物を扱うのと同等の厳しい基準遵守や届出を一部義務付けた。
つまり、雑品スクラップを扱おうとすると手間とコストがかかるように変わったのだ。最大買い手の中国で売れない上に、コストがかかるとあっては無償での引取りも望むのは難しくなる。
400坪店費用負担は月1トン8万円?
規制の対象として挙げられているのは、家電リサイクル法と小型家電リサイクル法の対象となっている家電4品目と28品目等だ。リユース店にとっても売れ筋商品ばかり。
出口があればお客から積極的に買えるが、無いとなれば「断る」か「処分費用を負担して引き取る」のがベーシックな対応になりそう。
リユース店500店と家電量販店のバックヤード支援を行うエコミットの調査によると、リユース店が「売れ残り」「破損」「年式が古い」という理由で排出する家電の内、20%は国内外での再販価値があるが、80%がリユースできないと言う。同社の試算では、仮に全てを産業廃棄物として処理するなら、400坪の総合リユース店で1トン出た場合、月間8万円の費用負担(収集運搬費込)が生じると推計している。
431号(2018/01/10発行)9面