偽ブランド品排除の団体に会員127社 鑑定代行、消費者相談を実施
2018年06月05日
偽ブランド品排除の団体に会員127社
鑑定代行、消費者相談を実施
フリマアプリの登場で過渡期を迎えるリユース業界だが、悩みの種の一つは偽ブランド品。20年前から偽ブランド品排除に取り組む団体の日本自主流通管理協会(AACD)の姉川博事務局長代理に、協会の取り組みや昨今の偽ブランド品事情について話を聞いた。
「疑わしきは販売しない」を徹底
AACDは1998年、並行輸入業者の業界団体として発足した。並行輸入とは、ブランド商品などを正規代理店など以外のルートから輸入して販売するもの。
現在の会員企業数は127社。当初は並行輸入業者のみが加盟していたが、リユース業界の存在感が高まるとともにリユース業界からも会員企業を受け入れ始めた。現在は並行輸入業者とリユース企業がおよそ半々で構成されている。
協会が目指すのは、市場から模倣品を排除して、安心して商品を販売、消費者に迷惑をかけないこと。姉川事務局長代理は「会員企業に対しては、『疑わしきは販売しない』という姿勢を徹底してもらっている」と語る。
会員企業には正会員になる際、不正品流入防止のためのチェックシートの提出義務があるなど対応を求めている。
姉川事務局長代理は「正規品の工場からでた不正品でも新品ならたいてい見分けられる」と鑑定力に自信をにじませる。
ただし、「100%偽物を売らないというのは不誠実」とも語り、人がかかわる以上混入は避けられないとの見方も示す。会員企業に対しては返金対応など誠実に対応するように指導している。
世界中からブランド品知識を蓄積
同協会では会員企業に対して、年間500個まで無料、その後1個当たり500円でブランド品の判定を行っている。
ブランド品の真贋鑑定で、正規品・非正規品を判定する権利はブランドホルダーしか持っていない。同協会では独自に基準を設けて基準内・基準外という形で判定を行っている。判定を行うのは利害関係のない第三者で構成された事務局員で、世界中から本物・偽物を集め日々知識を蓄積している。
また、非会員企業や一般消費者向けには消費者Q&Aセンターやブランド110番のようなサービスも行う。
まず、消費者Q&Aセンターでは消費者からの相談によってアドバイスや、必要によっては判定を行い口頭で伝える場合もある。判定は無料で往復送料のみ負担。判定を行う場合は、会員企業以外の事業者の利用を防ぐため、消費者であることを確認している。利用者に対しては、事前に判定のことを伝え、判定結果に基づいた対応の約束を業者などから取り付けておくことを勧めている。
ブランド110番は法務省の認可を受けたADR(裁判外紛争解決)。ADRとは裁判ではなく双方の合意で問題を解決する方法で、法務省の認可を受けた第三者機関が話し合いを取り持つ。
消費者・事業者どちらからも申し立てが可能。当事者双方の合意で開始し、弁護士などの専門家が間に入りながら双方が納得しての解決を目指す。ADR開始後は一定の条件を満たせば時効が停止するため安心して利用できる。
ネットの登場で偽物排除困難に
「昔は街で新品の並行輸入品を買うくらいしか安く買う選択肢はなかった。今はネットの登場で必ずしも並行輸入だけが選択肢ではない。並行輸入やリユース業界は過渡期にある」と姉川事務局長代理は話す。
ヤフーや楽天などのプラットフォーマーや、メルカリ・ラクマといったフリマサイトの対応は評価するとしながらも、不正品排除の難しさを感じている。
「ネットでは業者か個人かわからないことも多い。偽造品業者がフリマアプリに個人として紛れ込もうとするなど、予防が難しい側面もある」 加えて以前は偽造品が少なかった分野にも偽造が出てくるようになったという。
一足10万円のスニーカーや高価なヘッドホンなど偽造して儲かるものが増えてきたといい、「一般のお客様にご迷惑が掛かるものについては、しっかり市場から弾いていく」と対策への意気込みを語った。
非会員企業の中で偽ブランド品をわざと販売することがない企業向けの「宣誓マーク」事業も今年中のスタートを目指すなど、悪質業者の可視化などにも取り組んでいる。「宣誓マーク」事業については別法人を立ち上げる予定。
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