《全国ダーツの旅☆東京都》穂高書房 100万円分山岳書買った愛好家

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《全国ダーツの旅☆東京都》穂高書房 100万円分山岳書買った愛好家

2018年08月24日

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リサイクル通信 全国ダーツの旅

~東京都 編~

ダーツの矢がささったエリアのリサイクルショップに取材するコーナー

商売で貯めた古い紙幣かき集め
100万円分山岳書買った愛好家

穂高書房(東京都杉並区)は店主の和久井正明氏が約40年前、大病を機に「好きなことをやろう」と開業した山岳書専門の古書店だ。
和久井氏は山の生き字引のような存在で、同店には多くの山岳書愛好家が訪れる。

そんな和久井氏が最も印象に残っているお客として挙げたのは、開業直後に来店してくれた友人だった。
和久井氏は10代の頃から山岳書の愛好家が集まる「日本山書の会」に入会しており、その友人も会員だった。

友人は穂高書房の店頭には和久井氏の蔵書が並ぶに違いないと考え、開業してすぐに駆けつけた。
期待にたがわず、店頭には明治末期に活躍した登山家・山岳紀行文学者で日本山岳会の初代会長だった小島烏水の著書をはじめ、希少本がずらりと並んでいた。

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▲店内には本が〝山〟のように積まれている


友人はその中から数十冊を選んだが、その合計額は100万円を超えていた。
和久井代表が端数を値引きして100万円でいいと告げると、友人はその額に納得した様子で、現金を取り出した。

「驚いたのは、差し出されたお札がどれもよれよれで、なかには発行停止になった紙幣も含まれていたことです。その友人も商売をやっていて、長年苦労して貯めたお金をかき集めてきたことがわかり、胸が熱くなりました」と和久井氏。

その友人は2年前に亡くなったが、そのとき見たよれよれのお札は、今でも忘れることが出来ないという。

第445号(2018/08/10発行)17面

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