《明日のリユースを創る!》Web集客 、ネットでの同時併売で業績アップ
2019年01月18日
明日のリユースを創る!
実践マーケティング講座
~第4回 人件費上昇の時流をテクノロジーの力で乗り切る~
前回は、5つの方向性の1つである「専門性の追求」についてお伝え致しました。
1.専門性の追求
2.WEB・EC・自動化・無人化
3.顧客化・会員化
4.新品と中古の融合
5.モノからコトへのシフト
今回は、5つの方向性の中でも「WEB・EC・自動化・無人化」について解説したいと思います。これまでもWEB集客やネット販売が重要と言われ続けてきました。敢えてなぜ今、このテーマを取り上げるかというと「賃金水準の上昇による人件費の圧迫」が大きな問題になっているからです。全国的に有効求人倍率がドンドン上がり、働き方改革の追い風を受け、最低賃金も上がっているのが現状です。
政府は、最低賃金を毎年3%程度増やす目標を掲げており、2025年には、全国の最低賃が1,000円を超える予測が出ています。さらに、2019年4月からパートタイム社員にも有給消化を義務化する法改正が施行されます。法改正に伴い、パートアルバイトを多く雇用するリユースショップの人件費は更に上がり、シフトを埋めることが難しくなるケースも少なくないはずです。そんな今だからこそ、テクノロジーを活用し「人間がやる作業を減らす」ことが求められているのです。
特に、社員の時間は非常に貴重です。ランサーズやクラウドワークスなどのクラウド人材を活用して誰にでも出来る作業は外注化し、社員のリソースは、より生産性が高い業務に充てることが求められます。今回のテーマの具体的な事例を見ていきましょう。まずはWEB集客に関する事例です。昨年上場したなんぼやの決算資料では、全来店顧客のうち約9割が、HPやGoogleマップ、LINE@など、WEBを通じての来店だと発表されています。なんぼやの顧客属性は、40~60代が半分以上を占めています。比較的年齢層が高い顧客の集客においても、WEB集客対策は外せないということがわかります。
現にクライアントの事例を見ても、HPのSEO対策や、Googleマップを中心にMEO対策がうまくいっている企業は、業績が好調です。買取、品出し、販売のプロセスにおいても、無駄がないかを徹底的に検証しましょう。買取、品出しにかかっている平均時間はどれくらいでしょうか?しっかりと数値検証できていますか?検証出来ていない理由が、現在使っているシステムの問題であれば、業務システムのアップデートも必要です。業務の自動化無人化も、ここ1~2年で大きなテーマになるでしょう。
無人レジは多くのスーパーで実用化されていますし、実際に福岡の大野城市の大型スーパー「トライアル」は人件費削減のため、深夜の時間を無人化し、入店から会計までをすべて自動化しています。着実にテクノロジーは進化しています、リユースショップの無人レジや無人買取の実現も、そう遠くはない未来でしょう。販売面においては、Amazon・ヤフオク・楽天・Yahoo!ショッピング・eBayなど、他モールでの同時併売がリユースショップのスタンダードになりつつあります。
店頭との在庫を併売できる環境を整え、より高い販路でより高回転で販売し、次の買取に繋げること。これが業績アップへの近道です。2019年、新しい1年が始まりました。元号も変わり、今年も大きな変化が起こる年となるでしょう。今一度「平成最後の大掃除」ではないですが、業務の見なおしを図ってみてはいかがでしょうか。
佐藤 秀平
元船井総合研究所経営コンサルタント。コンサルタントと経営者という2つの立場で、小売・EC業界に8年以上携わり、リユース事業・輸出輸入事業・OEM販売事業などを行い、ゼロから年商4億円の事業に成長させた経験を持つ。マーケティング全般とEC販売戦略を得意とし、自身もリユース業向けのシステム開発を手がける、株式会社NOVASTOの代表取締役を務め、業界の最先端のノウハウを追い求めている。現在コンサルティングのクライアントは、総合リユースショップ・買取専門店・中古工具専門店・ネット型リユースなど多岐にわたる。
第455号(2019/1/10発行)15面