ネットで本人確認完結
昨年10月に古物営業法が、同年11月には犯罪収益移転防止法が改正された。これまで本人確認には利用者の身分証の写しを郵送する必要があったが、改正で利用者の顔と身分証の画像の一致が確認できれば、オンライン上でも本人確認が完結できることとなった。
この流れを受け、GMOグローバルサイン(東京都渋谷区)と親会社のGMOクラウドが開発したのが「GMOオンライン本人確認サービス顔認証eKYC」だ。同サービスは、スマホ等に搭載されているカメラで利用者の顔と運転免許証を撮影し、AIでリアルタイムに同一人物であるかを解析する。
まず、利用者は片手に運転免許証を持ち、カメラに自身の顔と免許証を写す。するとAIがリアルタイムに顔と免許証を解析。その後「笑ってください」「右目を閉じてください」等の指示が画面に表示。利用者が指示通りに動くと、利用者の生存を確認。最後に免許証全体を撮影し、本物であることを証明すると申請できる。申請後、一連の画像と動画等の確認証跡はサービス導入企業に転送される。この時点で既に「利用者の顔と本人確認書類上の顔写真の一致」「生存」はAIが確認済なため、導入企業は「確認書類の記載内容のチェック」等を行う。最後に企業が作業を完了すれば、本人確認が完了する。
従来の本人確認方法
GMO顔認証eKYCでの本人確認
低価格で利便性を向上
同サービスの特徴は主に2点。1つ目は比較的安価な料金設定だ。他社の類似サービスには初期費用が数百万円かかるものもあるが、同サービスの初期費用は無く、月額費用は10万円〜となる。
2つ目は申請時間の短縮だ。「郵送で本人確認を行う場合、2週間程度かかる場合もあります。しかし、同サービスでは利用者による申請時間は数分で完了するため、人件費の削減や機会損失の減少、利便性向上等に繋がるのでは」(GMOグローバルサイン事業企画部森淳三氏)
GMOグローバルサイン 森 淳三氏
GMOグローバルサインは3年前から、マイナンバーカードを活用したオンライン本人確認サービスを提供。一方、GMOクラウドはこれまで店舗に設置したカメラで来店客を顔認証するAI技術の開発に取り組み、サービスを開始している。
「GMOグローバルサインが培ってきた認証および本人確認ノウハウと、GMOクラウドによる来店客をAIで属性分析・可視化する技術を結集し、一緒にタッグを組むという流れになりました」(GMOクラウド企画開発部伊藤宏樹氏)マイナンバーカードの発行枚数は今年3月時点で1640万枚程度。一方、18年時点の運転免許証発行枚数は8200万枚以上だ。普及率が高い運転免許証に対応し、古物商業法に準拠しているとして、開始から約1ヵ月で中古企業を始めとする数十社から問い合わせが来ている。
第473号(2019/10/10発行)15面