買取店、不動産に進出 終活・相続相談に商機
2020年01月25日
リユース事業者が不動産の領域に進出する動きが目立ってきている。生前整理や相続時の買取依頼の際に、物件の売却相談を受ける機会が増えていることが背景にある。買取店は、既存の不動産事業者とは異なる顧客接点を持っており、これが商機になりそうだ。
SOU(東京都港区)は、今年3月頃に不動産仲介事業等を手掛ける新会社「バリュエンスリアルエステート」を発足、6月から事業を開始する。
既に同社が運営する資産管理アプリ「Miney(マイニー)」には不動産の登録もでき、総査定額231億円の内、50%強の123億円が不動産によるものだ。また、買取の際に「相続の関係から実物資産を手放す際に、物件についても相談を受けることがあった」(岸藍子社長室課長)ことから機会損失に対応する。同社が不動産領域にも進出する狙いは、LTV(ライフタイムバリュー)を高めることにある。
「衣類からブランド品、車、住宅となんぼやの営業マンと継続的なお付き合いが生まれ、それが代々受け継がれていく関係性を築けるのが理想」(同氏)
BuySell Technologies(東京都新宿区)は、昨年末にAMBITION(東京都渋谷区)と業務提携を発表。不動産に関する相談時に同社を紹介する。同社の買取依頼は、高齢者が7割を占め、生前整理等をきっかけとした買取依頼が多い。これまでにも出張訪問買取の際に、不用品の売却だけでなく、不動産売却等の相談を受ける機会が多くあったと言う。AMBITIONは、不動産物件を買い取り、リノベーションを行い再販する。また不動産特定共同事業として、不動産物件をクラウドファンディングにて買取り、不動産小口化商品として提供することも想定しているという。
トレジャー・ファクトリー(東京都千代田区)は昨年10月に「トレファク不動産」を立ち上げた。同社では以前から「トレファク引越」の名称で不用品の買取と引越しの一括サービスを提供している。その際に住宅の売却相談を受けていたこともあり、不動産売却までをワンストップで対応できるようにした格好だ。1都3県から対応を開始、3年以内に年間200件の成約を目指す。
第480号(2020/1/25発行)1面