「ゲットイット」「リングロー」、ホワイトな企業と福利厚生の充実
2020年03月06日
働き方改革
「働き方改革」の時代だ。18年には働き方改革関連法が成立し、今春からは中小企業でも残業時間の上限規制が始まろうとしている。誰もが働きやすい職場環境の整備は、選ばれる企業になるための必須条件になりつつある。そこで、リユース企業で働きやすさを追求している2社を取材した。
ゲットイット
稟議書なしで効率化
ホワイト企業大賞も
PC部品の買取、販売を行う『ゲットイット(東京都中央区)』が、第6回ホワイト企業大賞特別賞「変化し続ける経営賞」を受賞した。時代に即した経営と、社員の自主性を重視する仕組みが評価された。
廣田優輝社長は、応募の経緯を「現在の自社の立ち位置を知るために、試しにいくつかの審査に応募したのがきっかけ」と話す。
評価されたのは、経営の柔軟性だ。わかりやすい取り組みに、稟議書がないことが挙げられる。社員全員が経費を持っており、稟議を回さずに決済できる代わりに、経費はすべて公開する。上司は雑務が減り、部下はスピーディーに活動できる。
「自分から動きたい人にはホワイトかもだけど、指示待ちの人にはホワイトじゃないと思う。なので受賞はゴールではなく、ホワイト企業とは何かを考える起点だと思います」(廣田社長)
廣田優輝社長と賞状
ホワイト企業大賞は14年発足。応募企業から、社員全員のアンケートと審査員との面談を経て受賞法人を選定。今回は大賞2社、特別賞24社、推進賞5社が受賞した。
リングロー
工場内にカフェ設置
話題呼び、人材採用へ
リユースPCの再生・販売を行う『リングロー(東京都豊島区)』では、福利厚生が人材採用につながった。埼玉県新座市のパソコン再生工場に設置したカフェが従業員の憩う場になり、口コミをきっかけに数名の採用に成功した。
工場では、19年6月より休憩室内のカフェで、コーヒーを100円で提供する。「単純に賃金を上げるだけではないやり方があると思った」と話すのは碇敏之社長。「倉庫作業は多数のアルバイトさんや派遣さんが集まるため、空気が張り詰めやすい。それをなんとかしたかった」
新座工場のカフェ
コーヒーは一流バリスタが淹れる。カフェ業界はチェーン化・画一化が進行しており、自身のドリップ技術を活かしたいバリスタからの応募は多かったようだ。コーヒーが評判となり、工場スタッフとして家族や友人を紹介する従業員が現れた。
同社はこうした福利厚生の充実に加え、人材紹介会社のキャロット(東京都豊島区)を設立。引き続き採用に注力する構えだ。
第482号(2020/2/25発行)15面