新型コロナ 中古ブランド店頭小売り3割減 インバウンド減が直撃
2020年03月24日
新型コロナウイルスの影響により、リユース企業の業績が大きく落ち込んでいる。訪日観光客等の減少が、中古ブランド店などの店頭小売りを直撃。内需向けでも在宅勤務などが増えたことで、消費マインドを低下させている。昨年の消費増税の影響が落ち着きを見せ始めていた中での事態に、事業者は不安を募らせている。
「緊急事態宣言」により、外出を控えるよう知事から要請が出た北海道。道内で金プラ買取専門店を展開する企業の経営者は次のように話す。「非常事態宣言が出てから、ガラッと変わりました。来客数ベースでは7割減。ただ、大口の顧客はさほど減っておらず、売上では1~2割減に留まっています。ただ、3月3日頃から客足は回復傾向にあります。非常事態宣言による自粛に飽きてきた感もあるため、早期の回復を期待したいところです」
また、札幌市内のブランドの買取販売を行う店舗では、小売りに大きな影響が出ているようだ。「2月上旬に開催された雪まつりまでは外国人が多かったが、その後引いてしまったため、2月の小売りは3割減に近い、3月は3割以上の落ち込みになりそう。5月には外国人も戻ってきてくれれば」と話す。
普段は、外国人客で賑わう大阪の心斎橋商店街。軒を連ねる中古ブランド店では、「売上の3割減は間違いないですね。どこも採算割れしているでしょう」と話す。中古ブランド時計店でも概ね3割減の見通しだ。「昨年10月の増税で影響を受け、ようやく回復してきた中での新型コロナは痛手」と話す。
ブランド品等を競る業者間オークションは、厳戒態勢の中、概ね3月も開催する見込み。一部中国人の参加者が多い骨董系の古物市場が休会にするところがあるようだ。主催者は、会場の除菌やアルコール消毒等の感染予防策、参加者の体温を測り、場合によっては入場を断るなど対応に追われている。また、万が一にも感染者が参加者から出たらと戦々恐々の様子。「参加者には新型コロナが落ち着くまで、欠席する方がわずかながらいらっしゃいます。他の市場の動向も注視しながらできることをやる」と市場の会主は話す。
チケット店の客足遠のく
出張減・在宅勤務で
新型コロナウイルスの国内感染者の影響を考慮し、企業が在宅勤務や出張を取り止める動きが増加している。これにより大きな影響を受けているのが都内のチケット店だ。「新幹線回数券や交通系の株主優待券の落ち込みが大きい。美術館など休館が決まったレジャー系チケットは買取しないところもある」と新橋のチケット店は話す。
実際に、サラリーマンや外国人の来店が減少しており「1月の後半から影響が出始めていました。体感の客数は3~4割減」に及ぶと言う。先月末時点では、商品券の買取価格が通常であれば額面の98%台が96%台まで下落。
「3月には収束すると思っていたが、5月頃まで引きずるのでは」と先の見通しが立たない様子だ。また、イベントやセミナーなど自粛が続く中、中古トレカ店では大会の中止や対戦スペースを一時閉鎖する動きも出ており、「これから売上に影響がありそう」と心配な様子。先行きの見通しが立たない不透明さが、不安を増幅させている。
第483号(2020/3/10発行)24面