JP.Company(Monoshare)、ブランドリユースのイーベイ有力セラー
2020年03月29日
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欧米中心に中古バッグを年間12万点販売
JP.Company(Monoshare)荒木淳平社長
越境ECサイト「イーベイ」で中古ブランド品販売を行う『JP.Company(東京都江戸川区)』イーベイ・ジャパンが表彰する最優秀セラーを受賞し頭角を現している。独自にビジネス英語をシステム化するほか、地域別にニーズ分析するなど越境知見を蓄えている。今後は委託販売やソフトウェア提供など、同業者との連携に荒木淳平社長は意欲的だ。
取引「良好」の評価
3万強のバイヤーから
--イーベイ・ジャパンが表彰している「セラー・オブ・ザ・イヤー(最優秀セラー)」を受賞されました。
荒木 当社では越境ECサイト「イーベイ」に「Monoshare」の屋号で、中古ブランド品を販売しています。2年前にも受賞しており、今回で2回目です。
--イーベイでの2019年の販売実績が評価されたようですね。
荒木 取引数もそうですし、取引が良好だったことを示す「ポジティブ」評価の数など、総合的に評価していただきました。現在、ポジティブの数が3万3000個ぐらい付いていて、2年前に受賞したときは2万個を超えたぐらいでした。
--イーベイ歴は約8年になるそうですが、越境販売に着眼した背景を教えてください。
荒木 前職でイギリスのケンブリッジ大学出版局のもとにあった会社におり、大学教授が読むような洋書を輸入し、国内で卸す仕事をしていました。その頃から起業はしようと思っていて、輸入をやったから今度は輸出に挑戦してみようと。設立から最初の頃は越境EC販売に本腰を入れていなかったのですが、試し試しにやっていくなかで結果的に伸びていったんです。実は本当は最初、ブランドバッグのCtoCレンタルをやろうと思っていて、その屋号をMonoshareにする予定でした。ただ時代側面的に早すぎるなと思ったのと、もっとお金が必要だと思い、結局国内の市場などで仕入れたバッグを売り始めていったんです。
--今はイーベイでどれぐらい売っていますか。
荒木 売上の開示はできませんが、バッグの個数で言えば年間12万点ぐらいを海外に出しています。2年前と比べ、1.5倍程にまで伸びています。1点あたりの平均売価は2~3万円ぐらいです。販路の地域構成は、アメリカが6~7割、ヨーロッパが2割、それ以外がアジアなどのその他地域ですね。基本イーベイにバイヤーとして登録できるのは個人ですから、BtoCになります。もちろん個人属性の業者もいますが、年間12万点の中古ブランドバッグをBtoCで越境販売していると考えると、当社が国内セラーでNo.1に近いかと思います。
「越境ビジネス英語」外部にも出したい
--越境販売に乗り出すも断念するセラーもいます。御社の強みは。
荒木 1件1件の取引で対応をきちっとやってきました。お客様とのコミュニケーションが一番ですが、それは貿易英語だとか商業英語だとかはちょっと違いますよね。インボイスはどうしたとか、カスタムが引っかかっちゃったとか、リターントゥセンターになるとかっていろんな専門用語が出てきますが、例えばBtoC販売でお客様にかしこまりすぎた文章で対応をすると、お客様も嫌がります。逆に、「ヘイ!」みたいな軽いノリでも信用されないし不安がられる。だから、丁度いい中間のところを私たちは、「越境ビジネス英語」なるものを構築しながらやってきました。なかには「写真よりも状態が悪い」とか「説明の内容より悪い」など言ってくるお客様もいらっしゃいますけど、そういう時の折り合いをどうつけるかの経験はかなり。
--実際にポジティブの評価数の割合が、評価数全体のうち99%台と高い水準ですね。
荒木 「ネガティブ」の評価は、あって20~30個でしょうか。あとは詐欺的な要素もあり、「返品します」と言われて返ってきたのが空箱とか、違う安いものを返されたとかいっぱいありました。それに関税との絡みもあり、この国は良い・悪いというのも当然あります。ヨーロッパとかは関税が高く、関税払うのを嫌がって返したい、やめたいっていう人は結構いますよ。ただ、ひっくるめてそういうものに対しての防護策を重ねてきました。大体こういう感じで言ってくる人はこういう体に出るなというのは。
--御社独自の越境ビジネス英語というのも気になりますね。
荒木 ソフトとしては価値があると思っていますから、今後はこれを外にも開放していきたいです。
イーベイも知らない越境向き商材まだある
--実店舗を持つ中古ブランド店がイーベイにも出品する動きは、実際に事例もあります。無店舗の御社にとって、トレンドの感知というのは今までどのように。
荒木 例えば実店舗に来た海外観光客が買い求める、または買っていく商品って実店舗の情報でしかないと思います。やはり店売りとネット売りの情報は質が違いますし、そもそもネット販売をたくさんやってないとネットユーザーのニーズは得られないです。となると、当社の場合はやはりビッグデータです。お客様の購入傾向とかを読み取っていくんです。例えばタイだったら黒物とか、緑ならロシア向きですねとか、あとはこの国の人は返品が多いとか、やはりお国柄が出てくるんですよ。うちはそういうのを細かく分析し、うまくターゲッティングしています。
--すると、美品・良品だけを売っているわけではないのですね。
荒木 今この業界で言えば、中国なら状態のいいもののほうが売れる感じはありますが、当社の場合は主に欧米向けなので、バッグの特性や地域ごとの需要に合わせて、直したりとか直さなかったりとか効率が悪くならないよう見定めています。
--今後も越境販売で突き抜けていく感じですか。
荒木 基本はそこですが、うちの強みは英語や海外取引にあるので、海外に特化したソフトウェアや物流に特化したソフトウェアの提供も考えています。物流の管理ソフトや、写真撮影の後処理のソフトとかも、英語のソフトウェアとも絡めたりとかもありですね。国内の他業者と絡んでいくことも考えていますよ。
--他のリユース業者ともですか。
荒木 リユースでもリユースじゃなくても歓迎です。うちはイーベイで海外に売る力はあるけど、商品は今のところ中古ブランド品に強い。だけど、例えばカメラとかはやっていないんですね。他商材を扱う業者と連携し、うちが代わりに売るとかはできます。いわゆる委託販売を今ちょうどやり始めたところで、これからもっと広げていこうとしています。
--リユース市場の動向をどう見ている。
荒木 ブランド品に関しては、物の数は減っていくと思います。それはバブルの頃に日本人がたくさん買ったものが、うちみたいに年間12万点も海外に出せるくらいまでになってきていますから。けれど、リユース全体で言うとまだまだ越境販売できるものがあると思っています。イーベイさんが気付いていない商材だって、まだまだたくさんあるはずです。いろいろ試してみないとですね。
会社概要
社 名 株式会社JP.Company
本 社 東京都江戸川区南小岩6-30-10デンキランド小岩ビル
代表取締役 荒木 淳平
社長プロフィール
獨協大学外国語学部英語学部卒。ユナイテッドパブリッシャーズサービス(Cambridge University Press国内卸)入社後、物流部門を経て、アート部門、アカデミック(学術書)部門にて営業を担当。退社後、株式会社JP.Companyを設立
第484号(2020/3/25発行)11面