《本紙調査》苦難の4月、リユース企業の7割が売上減

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《本紙調査》苦難の4月、リユース企業の7割が売上減

2020年06月03日

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緊急事態宣言によって、リユース事業者の大多数が大きな影響を受けている。本紙では3月に続き、5月にアンケートを実施したところ、売上減となった事業者が約7割に上ることが判明した。また、今後の経営対策として半数以上の事業者がなにかしらの融資を検討していることがわかった。

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本紙調査では、リユース店や質店を運営する企業各社の売上や目下の対策について調査。5月12~17日にかけてウェブ上で実施。71件の回答(有効回答数61件)が集まった。4月の売上を聞いたところ、72%の事業者が減少していると回答した。実店舗を中心に、外出自粛要請を原因に挙げる場所が多く、その他にインバウンド需要の落ち込みや海外輸出の停止、古物市場の休会などが売上減少の要因に挙げられた。

また、売上の減少率を見ると、44%が昨年対比で5割以上の売上減少に直面。特に都市部のブランド品や宝飾、金券などを主力とする店舗において落ち込みが大きかった。一方で地方店舗では「配送遅延以外は普段と何も変わらない」という声もあり、ネット型や地方店舗で巣ごもり商材を扱う事業者は比較的影響の少ない傾向。

更に、メディア系やネット系のリユース店を中心に売上増を実現した店舗もある。ゲーム商材に強いある実店舗型リユース企業は、昨年より90%の売上増につながった。またECやライブ販売を行うことで増収につなげた事業者も見られた。

 

従業員の不安「前向きな接客困難」

各店舗とも、マスク着用やアルコール消毒はスタンダードになりつつある。

感染防止のために、店内の消毒を徹底する店舗では、「入り口のマットに次亜塩素酸水をこまめに吹きかけて、お客様のご入店時に自然に靴底が除菌されるようにしています」という事例があった。また「都内へ電車での移動をなくした」「インターホンで一次接客し、無駄なお客を門前払い、それ以外の見込み客だけをアクリル受付けに通す」質店も見られた。

各店舗が感染対策を行う理由は2月から変容しつつある。これまでは、店頭で発症者が出た場合に報道されるのが怖い等、感染そのものの恐れが要因だった。

今回の調査では、「コロナ感染に敏感な従業員もおり、前向きな接客に支障がある」といったように感染リスクに敏感な従業員への配慮という側面が強くなっている。中古品という商材柄、コロナ感染者が手を触れた可能性がゼロとは言い切れない上に、リユース大手が運営する店舗でも感染者の発生が報じられ、人材確保という観点での感染対策が重要性を増している。消毒やビニールシートの設置、及び非対面非接触の接客などの工夫を引き続き取り入れる必要性があるだろう。加えて、比較的自由な休暇希望や休業手当に応じている。

4802_01.jpg感染対策のためお客の椅子を離した店舗(ザ・ゴールド岡山中央店)

持続可能なコロナ対策へ

これまでは感染に怯えながらの接客や、売上を大きく落としながらの臨時休業など、我慢の経営を強いられる世相だった。20日現在、緊急事態宣言の解除が39県に広がり、これまで休業していた店舗が営業再開へ向かっている。

しかし、感染対策に終わりはないようだ。アンケートの自由記述欄では、数年単位の長期的な対策が必要と考える事業者が多く、「アルコールを2年分備蓄している」「ワクチンが開発されるまでは、影響は受け、また、景気の急降下による来店客減も懸念している」など、対策を講じている。営業自粛から、感染対策を万全に講じた持続可能な経営への転換が真に求められる時期となりつつある。

 

融資や経費削減など対策急ぐ

アフターコロナ見据え営業手法の変更も

今後の経営対策についての調査では、約60%の事業者が融資を申し込むと回答。「利息免除ということもあり融資を受けた」という声もあり、念の為の運転資金を確保するために無利子の融資を受ける動きが活発なようだ。日本政策金融公庫や、持続化給付金を挙げる事業者が多い。現時点で融資を検討していなくとも、「今後の状況により追加融資も検討する」という意見も出た。

また、経費節減が積極的に行われている。店舗休業に伴う家賃交渉を行うと22社が回答。買取依頼の増加による仕入れ価格の引き下げ、人件費削減や役員報酬の減額、さらに店舗の撤退や縮小を行うと回答した企業も複数見られた。

アフターコロナに向けた販売手法を編みだす店舗も多い。目立ったのが、オンラインでのライブ販売だ。黒物家電や時計、ジュエリーなど、小型で高単価な商材を取り扱う企業が積極的な参入の姿勢を見せている。その他の商材はEC販売が主だ。在庫削減のためにECセールを行う企業が多い。

一方で、営業を再開した店舗では「例年どおりの客入り」「予想以上」という声が出ている。「お客様は、意外と消費に対して意欲的なので、これを機会に非接触型の販売の確立を目指している」という意見の通り、売り方の変革を進めつつ、売上回復を各事業者が目指している。

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第488号(2020/5/25発行)13面

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