音楽の歴史もレコードの歴史も、新しい機械やテクノロジーに牽引されてきたとも言えます。その中で曲に課金するためにヘンテコな形、いや魅力的な形に生まれてしまったのが「7インチ・シングル」でしょう。
シングル盤は1949年に発売されました。いろいろな名称があり、あの穴と盤のサイズ感から「ドーナツ盤」とも呼ばれていますが、こちらではあえてシングル盤と書きます。お客様からあの印象的な中心の大きい穴は、なぜ大きいのかよく聞かれます。それは昔、ジュークボックスという音楽の自動販売機があり、お客さんが指定したレコードを選んで自動で再生するオートチェンジャーと言われる仕組みに対応するためのようです。ジュークボックスはレコード再生機器で、国内ではバーや喫茶店などの店内に置かれていて、1曲に100円程払って自分の好きな曲を聞いたものでした。今考えるとかなり高いですが(笑)。昔は音楽を聞くのにそれだけお金がかかったのです!
シングル盤の穴が大きい理由とは?
ジュークボックスには何十枚ものシングル盤が格納されていて、機械が少なくなった現在でもその名残でずっと穴が大きいままなのです。現在はシングル盤をターンテーブルで聞く場合に使用するものが「EPアダプター」などと言われているもので、これが無いと再生が難しいです。よく紛失するため代替えのアダプターも沢山販売されています。
第524号(2021/11/25発行)11面