「出張買取」のトラブルや不正、社内の第三者がチェックし未然に
2022年05月01日
おうち時間が広がり、バイヤーを呼んでモノを買い取ってもらえる「出張買取」の需要が増している。これを事業展開する経営者としては、自社のバイヤーが顧客宅でどう振る舞っているかが見えづらい側面もあるだろう。「押し買い」などを起こさないためにも、マネジメントはしっかりしておきたい。出張買取をTVCMで宣伝するなど、有力とされる事業者4社に仕組みを尋ね、まとめた。
アフターコールで二重チェックなど
出張買取バイヤーが着物を査定するイメージ(提供:バイセル)
出張買取のTVCMに、俳優の木村佳乃さんが出演する「バイセル」(運営:バイセルテクノロジーズ、東京都新宿区)や、俳優の中尾彬さん・池波志乃さん夫妻が出演する「福ちゃん」(運営:リゲート、大阪府大阪市)などがある。また北海道では、不用品回収・買取サービス「おまかせネコの手」(運営:ノースジニアス・アール、北海道札幌市)が一時期、TVCMを放映していた。CMを放映すれば消費者からのサービス認知度は高いとされ、またサービスそのものの質や事業者側のルールが気になるところだ。
3社に共通する対応の1つが、電話(コール)だ。顧客宅を訪問したバイヤーのみで契約締結を完遂させるのではなく、社内の第三者もお客とコンタクトをとり、契約内容を確認する。バイヤーによる商品引き抜きなどの不正を抑止できるほか、接客に粗相がなかったかの聞き取りもでき、品質の向上につながる。「畳のへりを踏まれた」「"鼻出しマスク"が気になった」など、今回聞き取りした事業者の中では過去、こうしたバイヤーに対する不満がコールの際に寄せられることもあったという。
コールをどこで挟むかは、事業者によって異なる。バイセルでは「決裁コール」「フォローコール」の2つがあり、前者ではバイヤーが居合わせた状況で売買契約書と照らし合わせながら確認する。後者は、バイヤーが退室した後にもう一度コールする。バイヤーが居合わせない状況で本音を話してもらうことで、精度の高い意見が得られやすい。リゲートも同じく、バイヤーが退室した後に会社からコールしている。ノースジニアス・アールでは全案件においてコールしないものの、バイヤーとの情報共有の上で、クーリングオフ期間内にコールしている案件がある。
第534号(2022/4/25発行)14,15面