物価高・円安、漂う期待と不安
2022年05月06日
原材料高・原油高を背景とした値上げや、円安急進が及ぼす経済影響が注視される中、リユース業界では期待と不安で混沌とした景況感が漂う。消費者の節減意識が高まり中古品購入・売却が促されれば、市場成長を見込める。ただ物価高が進み購入意欲が低減すると、モノが二次流通しづらくなる。円安は輸出で外貨を稼ぎやすいが、越境ビジネス競争が招く国内仕入れのコスト高懸念もある。コロナ禍などの要因も複雑に絡み合う。企業は最適な舵取りをしたい。
中古メディア大手「新規顧客獲得のチャンス」
通販店「ブランド市相場高騰、仕入れ値3倍」
出張買取業者「貧富差が拡大、富裕層に接近」
国内では約20年ぶりの円安。外貨両替店では1米㌦=131円に(4月某日、都内の店舗にて)
「ママ友に勧められ、子供服は中古品でいいかなと思った。成長してすぐサイズは変わるし、新品を買ってもすぐボロボロになる。今は節約が必要だ」。栃木在住の30代専業主婦は、抵抗感のあった中古品に対し心変わりし、こう吐露する。
フリマアプリ大手メルカリのアンケート調査によると、利用者5万人弱のうち約8割が直近1年で物価高を実感。この対策として、メルカリでの購入が増えると思われるカテゴリには「服」「化粧品・コスメ」「書籍・漫画」が上位に挙がった。
配送・資材に値上がり
古本などのネット販売や買取りを営む大手のネットオフによると、「ウィズコロナの生活様式が浸透し、宅配買取や通販需要は引き続き拡大」(星野勝之常務取締役)。そんな同社が今直面しているのは、配送費や梱包資材のコスト高だ。これを受け、通販商品の送料プランを一部で見直し。3000円以上購入での送料無料を1500円以上に引き下げ、また見直し以前には応じていなかった少量(メール便対象商品1~2点)購入に対する送料込み価格を新しく設けた。明朗価格で利便性を上げ、「新規ユーザー獲得によりコスト吸収をできれば」と考える。「物価高はリスクでもあるが、リユースのニーズは高まるとされ、チャンス」
第535号(2022/5/10発行)1面