遺品整理をしていると、故人が残した物から故人の人生や想いを汲み取れることが多々あります。今回は長年父親と断絶していた息子が、父の遺品整理をすることによって、その意外な想いに触れ、心の溝を埋めることが出来たエピソードをご紹介します。
スリーマインド(兵庫県伊丹市)
YouTubeの動画「ヤギさんの家じまい」で遺品整理が家族の溝を埋めたエピソードを伝えている
「遺品整理をしっかりやることが、家族関係を見直すことにつながるのです」。そう語るのは2016年の創業以来、伊丹市、宝塚市を中心に関西圏で累計3000件を超える遺品整理を手掛けてきたスリーマインド(兵庫県伊丹市)の屋宜明彦代表だ。屋宜代表には創業当時に出会った忘れられないお客がいる。
そのお客は30歳くらいの男性で、孤立死した父親の部屋の遺品整理をして欲しいと依頼された。故人のアパートの玄関前で待ち合わせしたところ、男性は始めから「俺、20年も会ってないのに、なんでこのおっさんの家、片付けなならんねん」と、いかにも迷惑そうな様子だった。それでも、屋宜代表は遺品をゴミとして扱わず、1つ1つ男性に見せて、仕分けをしていった。
驚いたのは、部屋の中を片付けていくと、一緒に暮らしていた時の息子の物が丁寧に保管されており、次から次へと出てくることだった。木製のデスクのビニールの下には息子の写真が入れてあった。
第542号(2022/8/25発行)27面