ドル円為替が1ドル=144円をつけ、約四半世紀ぶりの円安水準ということで世間を騒がせています。今年春に130円台をつけた際は、円安がブランド古物相場にプラスに働いていないとお伝えしました。それから10円以上も円安に振れた今、ニュース等ではブランド買取相場が上がっている等と報じられていますが、実際はどうでしょうか。
結論からいうと、状況は春先とさほど変わらず、相場に大きな影響は出ていません。春先よりは反発していますが、小幅な回復です。これだけ円安になっても相場がさほど上がらないのはどういうことなのでしょうか。
消費低迷で上向かず、鍵はインバウンド
幾度か小欄でお伝えしましたが、年初までは国内のブランド古物、主に時計相場は過熱化の一途でした。背景には投機目的のお金が流れており、純粋な需要によるものだけではありませんでした。それがウクライナ侵攻を皮切りに情勢が一変、世界的な物価高となって相場が崩れ始めました。さらに、相場を下支えしていた中国・香港市場の鈍化も足かせに。また上海でのロックダウンでモノの流通が停滞したことも重なりました。年初まで続いていた過熱相場が崩れた大きな要因はこの2点です。
第544号(2022/9/25発行)14面