2023年5月8日をもって、新型コロナウイルスが感染症法上において5類に移行されました。2020年から始まったコロナ禍はひとつの区切りを迎え、本当の意味で収束に向かいつつあると感じています。全世界が混乱に陥ったコロナ禍において、ブランド古物業界も当然ながら様々な影響を被りました。5類移行を機に、この3年間のブランド古物業界の変遷を振り返ってみたいと思います。
相場暴落、休会 ネットオクの台頭へ
2019年末から新型コロナが少しずつニュースに取り上げられ始めたと記憶していますが、全国的な話題となったのは2020年2月、横浜港に着いたクルーズ船で集団感染が起きたことがきっかけではないでしょうか。
その頃はブランド古物相場への影響はさほどありませんでしたが、その後日本政府が「感染拡大を防ぐ正念場がこの1~2週間」とのメッセージを発表し、潮目が変わりました。外出自粛や一斉休校など、かつて経験したことがないような事態となりました。結果、3月の古物市場は相場が暴落。国内はもちろん、香港マーケットを始めとする海外でもヒト・モノの動きが停滞し、国内市場に大きな影響がありました。ドル円為替は急激に円高に振れ、大きな混乱があったことを覚えています。4月には史上初の緊急事態宣言が発令され、当時は対面式の手競りが主流だった古物市場の開催自体が困難に。大手の古物市場も相次いで休会を余儀なくされる事態となりました。
ウィズコロナ、アフターコロナといった言葉が出始めたのもこの頃。先行きが見えない中、誰もがこの騒動はほんの数ヵ月で終わるような、一過性のものではないのだと思い始めていました。このとき、注目を集め始めたのが「ネットオークション」でした。当時はまだ手競りが隆盛で、Webを介した古物市場は主流ではありませんでしたが、各社が非対面式の古物市場運営に舵を切りました。
第560号(2023/05/25発行)17面