2023年「今年の漢字」が「税」と発表されました。それにちなんで、古物業界を私なりに一文字で表すなら「巡(めぐる)」でしょうか。コロナ禍の入口と出口を経たこの2~3年は、これまで以上に市場のトレンドや相場の上下動が速く、駆け巡った一年だったかなと思います。
目まぐるしく変動する相場、コロナでの高騰収まる
それを表すように、11月まで好調だった国内のブランド古物相場が、12月に入ってから時計を中心に下落に向かいつつあります。11月は香港とアメリカを中心とする海外市場はあまり好調ではありませんでしたが、国内の売れ行きや相場感は悪くなかったです。ところが、12月に入ってから国内の古物市場も動きが鈍化し、相場も下落傾向にあります。この背景にはどのような要因があるのでしょうか。
香港のウォッチショーでは、11月からその兆しは見えていました。物量はあるものの客数が少なかったようです。以前までは、会場であるホテルのフロアから、階下の階段まで参加手続きのために人が並んでいましたが、12月のショーでは混雑しても5~10人くらいと目減りしていました。欧米系のバイヤーも少なかった印象で、9月頃のピークと比べて現在は体感で7割くらいの入場者になっています。マカオや北京のショーはさらに閑散としている状態です。
第574号(2023/12/25発行)15面