リユース企業 メディア売上ランキング2023(2022年度)
2024年06月14日
メディア売上ランキング2023がまとまりました。リユース業界専門紙「リユース経済新聞」がリユース企業の売上を調査、ネット売上のTOP15社をランキング形式で紹介します。尚、売上高は2022年度の実績値となります。
1:メディア売上ランキングとは?
メディア売上ランキングは、リユース経済新聞が毎年1回、全国のリユース企業を対象に行う調査「中古(リユース)売上ランキング」をもとに、メディアの販売割合や販売量を算出し、紹介しています。
対象となるのは、メディア全般を取り扱う企業です。リユース事業でよく見られるメディアとして、本、ゲームソフト、CD、レコード、DVD、ブルーレイディスクなどがあります。
総合的な調査結果はコチラの記事を参照ください:中古(リユース)売上ランキング2023BEST250(2022年度実績)
「リユース売上ランキング2023」調査概要
調査概要:2022年度におけるリユース売上高を基に順位付けを行った。22年4月から23年3月までのいずれかを通期決算月として締めたリユース売上を22年度実績とした(一部企業においてはその限りでない)
調査期間・方法:2023年5~6月に、インターネットフォーム、FAX、電話、メールのいずれかで回答を受け付けた
2:中古メディアの市場規模は?
ランキング入りした企業の紹介に入る前に、中古メディアの市場規模についてご紹介します。
リユース経済新聞の調査では、2022年のリユース市場規模は、2兆8976億円。そのうち書籍の市場規模は950億円で、前年比4.4%減となりました。またゲーム・メディア(ゲームソフト、CD等)の市場規模は1074億円で、前年と比べて3.2%の成長をしています。
書籍に関しては、電子書籍や漫画アプリなどの普及によって、以前から衰退が懸念されてきました。そうした中で、2022年度はコロナ禍を経て外出機会が増加し、需要が減ったと見られます。
ゲーム・メディア分野では、PS5の品薄が解消された影響で需要が新品に流れたものの、旧作の人気は健在です。そのほか、国内外でレトロゲームの人気が高まっており、インバウンド需要の回復も相まって相場が上昇しています。
出典:リユース業界の市場規模推計2023(2022年版) リユース経済新聞2023年9月25日号
3:売上ランキングTOP15社を紹介
ここからは、メディア売上ランキングのTOP15社を紹介していきます。※印はリユース経済新聞の推計値、正確な数字とは異なる場合があります。
15位 三洋堂ホールディングス(三洋堂書店) メディア売上高 8.2億円
15位は、愛知県名古屋市に本社を構える、三洋堂ホールディングスです。新品・中古の複合書店「三洋堂書店」を展開しています。直営店は73店舗。最近では愛知県の2店舗で24時間営業を開始しており、顔認証での入店やセルフレジによる「スマート無人営業」を行っています。
14位 山徳(トレトク、推しトク) メディア売上高 8.7億円
14位は、石川県金沢市の山徳です。テイツーのグループ会社で、トレカやアイドルグッズ、着物などを商材ごとの屋号で取り扱っています。トレカ・レトロゲームの売上が好調で、最近では海外向けにも販路を拡大。輸出先は90ヵ国以上に上ります。
13位 FTF(フェイスレコード、エコストアレコード) メディア売上高 10.4億円
13位は、FTF(東京都渋谷区)です。中古レコード、CDの売買を手掛け、国内・海外合わせて7店舗を運営。現在、eBayを活用した海外販売が売上の半分を占めています。創業30周年の今年は、愛知県名古屋市に「フェイスレコード名古屋 中日ビル店」をオープンしました。
12位 ソフマップ(ソフマップ、じゃんぱら) メディア売上高 12.8億円
12位にランクインしたのは、ソフマップ(東京都千代田区)です。ビックカメラグループに所属し、パソコンやデジタル家電などの買取販売、サポートを手掛けています。23年には業務用機器のリユース事業を手掛けるエーワンを買収し、法人向けの買取販売を強化しています。
11位 東都クリエート(ブックオフ) メディア売上高 12.9億円
11位は、福島県福島市に本社を置く東都クリエートです。総合リユースショップとして「オーディン」や「エコ市場」などを運営するほか、ブックオフFCにも加盟しています。さらにトレカの専門ショップ「トレカトレイン」の運営や海外輸出・海外出店などにも挑戦しています。
9位(※9位は同率で二社) カジ・コーポレーション(お宝創庫) メディア売上高 16.1億円
9位は、東海・関西エリアで「お宝創庫」を展開するカジ・コーポレーション(愛知県名古屋市)です。トレカやゲームなどのホビー領域に特化した「プレイズ」「メディオ」「おじゃま館」なども運営しています。そのほか、カラオケ機器の販売・レンタル事業も手掛けています。
9位 ありがとうサービス(ブックオフ) メディア売上高 16.1億円
同じく9位にランクインしたのは、ありがとうサービスです。愛媛県今治市に本社を構え、中四国、九州、沖縄エリアでリユース事業を展開。ブックオフ・ハードオフのFC店を展開しています。23年には国内6店舗、タイ・バンコクに1店舗を出店し、リユース事業は104店舗に拡大しました。
8位 まんだらけ(まんだらけ) メディア売上高 ※24.3億円
8位は、古書籍・古物店の経営や自社出版物の編集・販売を行うまんだらけ(東京都中野区)です。自社開発のメタバースサーバー「ありえる」経由でEC販売を行うほか、今年4月にはトランスコスモスとの提携で、中国の越境ECモール、天猫国際に旗艦店を開店しました。
7位 バリューブックス(バリューブックス) メディア売上高 27.9億円
7位は、長野県上田市のバリューブックスです。オンライン上での古書売買サイト「バリューブックス」と「バブー」で本の買取販売を行っています。また実店舗や全国各地を走る移動式書店を展開。本で寄付できるサービス「チャリボン」など、社会貢献にも意欲的に取り組んでいます。
6位 ハードオフコーポレーション(ブックオフ) メディア売上高 28.2億円
6位には、ハードオフコーポレーション(新潟県新発田市)がランクイン。リユース事業を軸に、7業態の多店舗運営を行っています。メディア部門では古本の「ブックオフ」を中心に全国でFCチェーンを展開。店舗数は直営・FC合わせて969店で、今後も国内外で店舗網の拡大を目指します。
5位 リネットジャパングループ(ネットオフ) メディア売上高 53.3億円
5位は、愛知県名古屋市に本社を置くリネットジャパングループです。ネット中古書店「ネットオフ」の運営のほか、ソーシャルケア事業、小型家電のリサイクル事業、海外金融・HR事業を手掛けています。主力のリユース事業では、中古本やCD・DVD、ゲームソフト、ブランド品などを取り扱っています。
4位 エーツー(駿河屋) メディア売上高 59.1億円
4位は、「駿河屋」を展開するエーツー(静岡県静岡市)となりました。駿河屋、エーツー、ブックマーケットの屋号で全国に店舗を展開。ECサイトの「駿河屋.jp」が基幹となって業績を伸ばしています。最近では丸井グループとの提携で実店舗を拡大したり、新刊書店に駿河屋を複合させた店舗開発にも注力しています。
3位 テイツー(古本市場、ふるいち) メディア売上高 101.1億円
3位には、本社を岡山県岡山市に構えるテイツーがつけました。ゲームやホビーを扱う「古本市場」「ふるいち」を展開しています。自社ECサイト「ふるいちオンライン」では、昨年から古本のコミック全巻セットなどを販売。そのほかBtoBサービスなどにも注力しています。
2位 ゲオホールディングス(ゲオ) メディア売上高 379.3億円
2位は、愛知県名古屋市に本社を置く、ゲオホールディングスです。メディア事業として、映画、音楽、ゲーム、書籍、モバイルなどを扱う「ゲオ」のほか、総合リユースの「セカンドストリート」などを運営。24年3月期決算では、リユース事業の売上総利益額(粗利)が1000億円を超えました。
1位 ブックオフグループホールディングス(ブックオフ、ブックオフスーパーバザー) メディア売上高 516.6億円
メディア売上ランキングの1位は、ブックオフグループホールディングス(神奈川県相模原市)となりました。中古書籍やDVD、ゲームを扱う「ブックオフ」をチェーン展開し、大型店の「ブックオフスーパーバザー」などで、中古アパレル・スポーツ用品などを取り扱っています。約1000億円の売上高のうち書籍が4分の1を占め、メディア商材が売り上げの約半分に達します。
4:2023年(2022年度)調査から見えた変化
メディア部門においては、1位のブックオフグループホールディングスが516.6億円を売り上げ、圧倒的な存在感を放っています。
2位には、ゲーム類を主力とするゲオホールディングスがランクイン。リユース事業が売上の半数を占め、店舗数はグループ全体で2000店に迫る勢いです。
3位のテイツーは実店舗の展開だけでなく、オンラインも強化しており、買取りと販売におけるOMOを推進。22年度には自社ECサイトをリリースしました。そのほか、上場企業や総合リユース、大手チェーンのフランチャイジー企業が目立ちます。
リユース市場における構成比で見ると、書籍は3.3%、ゲーム・メディアは3.7%と、値としては大きくありません。一方、本ランキングでは多店舗型、商材特化型、ネット型など独自の強みを持つ企業が存在感を見せており、売上高にも影響を及ぼしていることが読み取れます。
5:まとめ
今回は、中古メディアの売上高についてまとめました。物価上昇による節約志向の高まりや、インバウンド需要の回復によって追い風が吹くリユース業界。そんな中、書籍やゲーム・メディアはオンライン化が進み、リユースに回る商品も緩やかに減少していくと考えられます。
一方、書籍・メディアの粗利率は55.6%と、前年と比較して+1.8Pt改善しています。さらにメルカリの調査では、日本の家庭に眠る不要品、いわゆる「かくれ資産」は書籍・CD・ゲームが最も多く、一人あたり12.1万円分を保有しているという結果が出ています。
こうした資産をどれだけ掘り起こせるかが、中古メディア市場だけでなく、リユース市場拡大の上で大きなキーとなりそうです。
リユース経済新聞では、全国のリユース企業等を取材しており、マーケットや企業の動向等の情報を発信しています。
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