HADEN BOOKS:by GreenLand(東京都港区)
HADEN BOOKS:by GreenLand、隠れ家的ブックカフェ《第191回》
ヘイデンブックスの外観。店舗は2階部分にあり、階段を上がって店舗に入る。テラス部分があり、そこにもテーブルを置いている
林下英治さん
出版社勤務時代にブックカフェの先駆けとなる、本屋とカフェ(出版社直営)を立ち上げから店長として務める。その後、出版社に長く勤めていた経歴を活かし、独立して「ヘイデンブックス」をオープン。ヘイデンブックスは、ベース奏者のチャーリー・ヘイデンが名前の由来。「彼の静かで強くて、柔らかい音は本を読む時に聴くと落ち着きます」
メニューは林下さんの手書き。細長いメモバッドにメニューが万年筆で書き込んでいる。
隠れ家的ブックカフェ
静かに過ごせる場所を提供
以前は国際いけ花協会の「花の城」だったというこの建物。「歴史ある建物なので、広く文化的な情報を発信できる、贅沢な空間にしたいと考えていました」と店主の林下英治さん。店内は本のスペースと、カフェのスペースに分かれている。
コンクリートの壁と石の床の室内には温かみが出るようにと、木のアンティーク家具などを配置した。席数も15席ほどに限定し、ゆったりと過ごせるようになっている。本のスペースでは新刊と古書を販売。新刊は主に「人の生き方が伝わる本を選んでいます」と林下さん。
大型書店が取り扱わない、500~1000部発行の良質な本をセレクトしている。古書をは一般からの買取は一切していない。元編集者だった林下さんの知り合いの作家やお店の常連などからの買取に限っている。店の方向性とは違う本が集まらないようにするためだ。「ブックカフェのお客様は本を買うというより、
本のある空間で自分の時間を過ごしたいという方が多いですね。当店も7割がカフェの売上です」と林下さん。
ここまでブックカフェとして継続できたのは、「この建物だったから」と林下さん。ここをギャラリーとして貸し出したり、演奏会を開催したりすることで、本の販売以外の売上を確保。この贅沢な空間を維持している。古書店では珍しくネット販売もしていない。「この店だから買いに来てくださっているので、今後もネット販売をする予定はありません」と林下さんは話している。
店に入るとまず本のスペースがある。そこから階段を降りるとカフェスペースになっており、ほんとカフェのスペースを分けていることで、どちらか一方でも利用しやすくしている
本のスペースの壁の一部は格子になっており、カフェスペースの雰囲気を感じることができる
店内の階段から店内を見下ろしたところ。大きな窓から陽が差し込み、柔らかな明るさが伝内を包み込んでいる
書棚には新刊本と古書の両方が一緒に並べられている。新刊には痛まないよう、透明のブックカバーをつけている。「きれいに本が並んでいるより、これから品出しをするような感じを残しておいた方が、お客様はよく見てくれています。この方が色気があると思いますね」と林下さん
ハンドドリップコーヒーは2種類。浅煎りのヘイデンフレンドと、深煎りのノーマブレンドで、写真はノーマブレンド。深煎りの粉を贅沢に使い、さっと淹れたもの。飲みやすいのに深みがある。この他のスイーツやアルコールも販売
カフェスペースのディスプレイにもなっている本も販売
オープン | 2013年9月 |
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取扱い商品 | 新刊、古書、カフェ |
客層 | 男:女=5:5 メインの客層は30~50歳 |
スタッフ数 | 1人 |
備考 | 店舗面積/65平方メートル 店舗在庫/約1000点(新刊:古本=5:5) HADEN BOOKS:by GreenLandは編集者・ブックカフェ店長だった林下英治さんが独立してオープン。 アーティストのライブなどのイベントも随時行っている |
第452号(2018/11/25発行)11面