越境販売業を手掛けるアメネスク(奈良県奈良市)が、骨董品の販売を始めている。2021年に立ち上げたサービス「福円堂」で買い取った中古品を、越境ECへの出品や海外バイヤーに卸す。海外向けの販路を自社で持つことで買取可能な商材を増やすという、独自の手法をとる新興骨董店を取材した。
中古売上の7割が海外へ
20の商材専用サイト
中古参入契機はこけし⁉
中古のこけしを販売する越境EC「和の美」。コレクターは専門店で購入したいニーズが根強いと、商材ごとにサイトを分ける
アメネスクは、20にも及ぶ越境ECを運営している。中古品は掛け軸やカメラ、時計など商材ごとにサイトを設置。会社設立時は、菓子や和雑貨などをメイン商材にしていた。これらは自社で新品を仕入れていたが、ある意外な中古品を販売した際、骨董品の海外展開の可能性に気づき、リユース業に参入する契機になった。
「日本文化を英語で発信しているYouTuberの方が中古のこけしを売っていて、うちの会社のサイトで一緒にやろうとなりました。すると海外では何万円を出してでも欲しいとニーズがあったんです。こけしは『和の美』というサイトで販売し、半数を占めるアメリカのほか、オーストラリアやヨーロッパ、東南アジアなど20ヵ国以上で購入されています」と粕井健次社長は話す。
月間300件の買取依頼
成約率は95%
「福円堂」では、国内の骨董品や美術品を、消費者から買い取る。生前整理や遺品整理時に絡めた、出張買取が大半だ。依頼は金融企業など提携先から入るケースが、7~8割を占める。
第595号(2024/11/10発行)10面