「本の生態系つくりたい」
主にインターネットを活用し、古書の買取りや販売を行うバリューブックス(長野県上田市)が新事業「バリューブックスエコシステム」を開始した。この取り組みは、出版社と提携し、古本の売上げから33%をその本の出版社に還元するというもの。
中村和義取締役(右)と飯田光平氏
輸送コストもきっかけに
バリューブックスに買取りや寄付で集まる本が、関東地方から届けられています。その中には、中古市場での価値がなく古紙リサイクルにまわってしまうものも少なくない。それに対して輸送を行うのは、コストの観点からも環境負荷の観点からも良くない。その問題も、エコシステムを考えるきっかけになりました。
バリューブックスに買取りや寄付で集まる本が、関東地方から届けられています。その中には、中古市場での価値がなく古紙リサイクルにまわってしまうものも少なくない。それに対して輸送を行うのは、コストの観点からも環境負荷の観点からも良くない。その問題も、エコシステムを考えるきっかけになりました。
バリューブックスには1日に3万冊の古本が集まるが、その内値段を付けることができるものは50%ほど。同社のスタッフは、毎日1万5000冊が再販できず古紙リサイクルにまわるのを目の当たりにしてきた。
本としての価値を失い、古紙リサイクルに回さざるを得なくなる古書を減らしたい。そう思って始めたのが、バリューブックスエコシステムだ。手を組んだのは4つの出版社。4社は、同社が定めたある指標で高い値を出している。
バリューブックスエコシステムの仕組み
古紙リサイクルに回る古本(イメージ)
リユース率90%以上
その指標とは、「リユース率」。バリューブックスでは、出版した本の内、中古市場で再販価値の有る割合を「リユース率」として出版社ごとに算出している。パートナーとなった4社は、いずれもリユース率が90%を超えている。
つまり同社は、リユース率の高い出版社に利益還元することで、『値崩れせず長く読み継がれる本の制作』をより後押ししようとしているのだ。市場に出回る古本の価値を上げることは、市場全体の活性化につながる。
「今後も提携する出版社を増やしていき、価値のある本がつくられて循環する『本の生態系』を当社が介在することでつくりたいと思っています」(中村和義取締役)
429号(2017/12/10発行)24面