ケント、家具修理売上が3年で倍増
2019年03月21日
当社の強み
▲静岡の工場で家具修理を施す
英国アンティーク家具の販売を行うケント(東京都目黒区)では法人から請け負う家具修理事業が成長している。樋口貴典社長に同社の強みを尋ねた。
家具修理売上、3年で倍増
英国技法に倣いアンティーク再生
-御社の事業内容は。
樋口 英国で買付けたアンティーク家具を日本で販売しています。買付けは年間5000点で、東京と静岡にある実店舗「ケントストア」で販売。約8割は法人向けです。家具量販店などから家具修理も請け負い、その事業が成長しています。
-御社が同業他社の修理を請負っていると。
樋口 はい。当社は国内のアンティーク家具店で取扱量がトップ。創業より培ってきた修理技術が強みです。同じアンティーク家具店でも修理をしない店や、新品を中心に扱いながらもアンティークを織り交ぜる量販店がある。そういう所から引き合いが増え、ここ3年で修理部門売上は200%まで伸びている。
-それだけアンティーク修理は難しいのですね。
樋口 ええ。人手や工場、材料が必要です。静岡の工場は店舗部分を含め規模は約600坪。修理スタッフが15人います。元々アンティーク家具は修理することを前提に作られている。そのお陰で80年、100年と使い続けられるんです。長年使えばぐらつきも出るし質感も劣る。
そこで当社は英国現地の伝統的手法に則り修理しています。現地では膠(にかわ)という物質を接着剤として使い、修理の際に木材同士をつなぎあわせる。これは年中乾燥している英国で発達した技法です。再修理したい際はつなぎ目を叩けば簡単に外すことができ、膠を塗り直せばまたつなぎ合わせられる。日本は暑い時期もあるので、それに耐えられる接着剤に置き換え修理します。
-アンティーク家具は、一般層へ裾野は広がっていますか。
樋口 当社でもアンティークを身近に感じられるよう啓蒙活動は行ってきました。有名な大手家具量販店にも供給しています。20~30年前に日本で流行した彫刻ごりごりのデザインの物は今流行っていない。当社の場合は、売価15万円程で、集成材には出せない無垢材料独特の質感を持った商品を推している。
最近は、新婚で生活環境を変えられる方がアンティー クを選び始めていると聞きますね。それでもまだ日本は欧州と比べインテリアにお金をかける意識が薄い。業界全体として啓発はもっと必要です。
第459号(2019/03/10発行)12面