《トップINTER VIEW》ケイ・ブックス 大塚 健会長、中古アニメ専門店 池袋で店舗倍増計画
2019年09月02日
・ケイ・ブックス大塚会長へのトップインタビュー
・強みの専門性で中古は毎期成長
・今後の店舗展開は現状と同様池袋のみ
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中古アニメグッズ・同人誌の中古販売や執事喫茶の運営を手掛けるケイ・ブックス(東京都豊島区)。同社は7月に「シネマ館」を新設するなど様々な専門店を増やし、5年で池袋に30店の展開を目論む。進行性の筋ジストロフィーの影響で、病床から指揮を執る大塚健会長に、今後の展望を聞いた。
池袋に新店舗
劇場アニメの専門店
--池袋では先月、「シネマ館」を出されましたね。
大塚 はい。ちょうどスペースが空いたことと、今年から来年にかけ、映画館がかなり池袋でできるようなんです。それに合わせてシネマ館では、劇場版アニメのグッズなどを販売しています。映画は子どもから大人まで幅広い年齢層を取りこめるし、親子一緒になって楽しむことができます。
--どんな戦略で店舗の展開をされてきましたか。
大塚 女性をメインターゲットに、中古アニメグッズや同人誌の専門店を展開しています。ほかにも、男性店員が執事となって接客する飲食店「執事喫茶」も運営しています。池袋では、全業態を合わせて18店を展開しています。当社全体の売上としては、中古の物販事業で9割、飲食事業で1割という構成です。
新品撤退で売上減でも中古は毎期成長
--新品も扱ってましたよね。
大塚 新品の方は18年10月期には12億円あったのですが、一昨年から少しずつ新品の扱いを止め、今では完全に撤退しました。その影響で全体売上を落としていますが、新品は利益率が悪く、採算が合わなかったんです。なので、新品で埋めていた売り場を、中古に充てて物量を増やしています。
中古でいえば年率6%程で成長を続けています。同期の中古売上は、26億円でした。お客様によっては、新品は高くて買えないから、安いものがほしいという方がいる。そういった方に、うちの品揃えの多さが、現状刺さっているのだと思います。
--やはり貴社の強みは専門性ということでしょうか?
大塚 そうですね、やはり強みは専門性。今回オープンしたシネマ館のほかにも、「乙女館」「動画館」「コスプレ館」など色々な専門店があります。お客様が1日中池袋にいても楽しめる店、というのを意識し、展開してきました。
--それだけ専門特化されるとスタッフの知識が求められてきますね。
大塚 当社では、独自に考えた300問のテストを社員に毎月出題しています。本人たちの努力次第ですが、合格するために相当勉強しないと受からないようにしています。それに合格すると、買取りの担当になれたりできるんです。
--テストが相当難しく、離職率にも響いているとか。
大塚 決して採用を厳しくしているわけではないんです。やはり、入社してから最初の関門となる、買取り担当になれるか、というところでのつまずきが多いんですね。7年前のインタビュ―では当社の離職率9割と紹介されましたが、2年目に入れば、離職率は10%程度までに下がり、3年目以降はそれ以下です。
--会長は自宅に居ながら、会社に指示を出すわけですね。
大塚 はい。私はこうして動くことができないですが、大変なのは私ではなく、社員だと思っています。昔から色々と頭の中で考えることが趣味だったこともあり、「さあ、これやってみるぞ!」と社員に働きかけるのが私の役目なんです。自分にとっての右腕は、各店舗の店長。その社員には、自分たち自身が1人の経営者だと伝えてきました。みんなには、商売とはこういうものとか、中古はこうあるべきとか、やってだめなことはやめてみることも教えてきました。実際に今までも、やってだめだった専門店はすぐにやめてきています。そうやって、わからないけどとにかくやってみる姿勢が大事です。
来店の半数が海外から
中国・台湾多い
--今後はどんな展開を考えていますか?
大塚 どんなコンセプトの店舗かはまだ言えないですが、5年後には、池袋で30店を展開したいという展望があります。
--アニメは海外でも人気です。海外展開もあるのでしょうか?
大塚 海外現地でというのはやはり難しいと思っていて、それよりも外国人のみなさんは日本に来てくれます。今店舗に来るお客様の半分が海外から。特に中国や台湾が多いですね。今中国のアニメのレベルもどんどん上がってきているので、今後逆に中国の商品の取り扱いも増やしていくことになるでしょう。店舗展開については国内外含め、今中心となっている池袋以外での展開というのは考えていません。これから日本人がどんどん減り、働く人も買う人も減っていくなかでメリットがないです。
会社データ
社 名 株式会社ケイ・ブックス
事 業 内 容 リユース事業(同人誌・コスプレ等)
飲食事業(世界初の執事喫茶等)
本社所在地 東京都豊島区東池袋3-15-2 ライオンズマンション505
代表取締役会長 大塚 健
会社設立 1994年7月
資 本 金 5,000万円
従 業 員 340名
店 舗 数 25店舗
売 上 高 41.2億円(2018年)
会長プロフィール
1965年生まれ。5歳の時に現代医学では治癒不可能の難病「筋ジストロフィー」と診断され、20歳までの命と宣告される。高校時代に集めた漫画をもとに、1985年8月、貸本屋「けんちゃんちのマンガ塾」を自宅を改装しオープンさせるが1987年に閉店。1992年1月コミックス専門リサイクルショップ「けんちゃんちのマンガ塾」を巣鴨にオープン。1994年7月「有限会社ケイ・ブックス」設立。1994年11月けんちゃんちのマンガ塾1号店、2号店を池袋に移転。屋号を「ケイ・ブックス」と改める。1996年7月「ケイ・ブックス秋葉原店」をオープン。以後、世界初の「執事喫茶スワロウテイル」なども手掛け注目を集める。
第470号(2019/08/25発行)9面