主要道具市、3密防止で開催続行
2020年04月29日
新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け中古ブランド市のネット移行や休会が相次ぐ中、4月7日に7都府県で緊急事態宣言が発出され、道具市の開催可否にも注目が集まった。主要道具市各所は密集・密閉・密接の3密の防止強化をし、開催続行している。
道具市はインフラ 「流通止められない」
「マスク着用はもちろん、目・鼻・口を触らせない。ペットボトルで水を飲むだけでも注意を払ってもらっている」(某市場会主)
新型コロナで大型イベントが自粛される中、大きい所では一度に100人が集うことも普通とされる道具市への風当たりが強まってきている。それでも、主要市場の会主の多くは、「重要な売り買いの場として、流通は止められない」と考えている。
関東では横濱タイガーデン、湘南オークション、足立リサイクルオークション、ジャパンオークションセンター、三郷オークション、関西では新大阪道具市場、神戸オークションマーケット、九州では福岡ドリームオークションに聞き取りしたところ、開催続行することがわかった。新型コロナが本格化した2〜3月で、例年同時期に比べ、物量、参加者数、出来高を落としている道具市は多いが、「会員の半数以上がネット販売をしているし、それの売上がコロナの影響を受けずに上がっているとも聞く」「倉庫を持たない売り手会員にとってはうちの倉庫が必要になるので閉められない」「新品商品を外に出て買いに行くのが難しい今、道具市がインフラとなって中古品を流通させていくべき」「軒並みブランド市が休会しているので、ブランド品・貴金属品を仕入れできる貴重な場所としても役割を担いたい」と、それぞれに続行の理由を述べる。
骨董市は休会続々 「密集解消できない」
環境面はどうか。道具市の場合、ブランド市でよくある会議室等を使って座りながら競る形式と異なり、バイヤー各位が倉庫内や屋外で立ちながら競りに加わることが可能。また自分が目当てとしない商材が競られている間は、他商品の下見ができ、「ソーシャルディスタンスは、個人個人の自覚によって保たれている印象」と話す者も。一方、骨董市は休会が相次ぎ、その理由に「道具市ほどに、密集空間の解消が図れないため」と話す骨董市会主もいた。
市場側も参加者任せの運営体制ではない。入場時の検温、マスクや手袋の着用、アルコール消毒の常設、シャッターや窓の全開放など可能な限り措置をとっている。また、ある会主が開催当日のスケジュールを見せてくれたところ、そこには「9時〜10時10分厨房器」「10分手洗消毒」「10時20分〜10時50分事務機」「10分手洗消毒」...とあった。時間ごとに競る商材を分けて人の出入りを分散させている。
●主な感染防止対策
・入場者に検温(37℃以上は退場)
・マスク、手袋の着用・咳のひどい者は退場
・こまめに手洗い消毒休憩を設ける
・可能な限り時間ごとに競る商材を分け、人の出入りを分散
・倉庫のシャッターや窓を開放
・大便器の便座にシート装着
第486号(2020/4/25発行)8面