レジ袋有料義務化、リユース店の対応は?
2020年06月20日
経済産業省が中心となって推し進めるレジ袋有料化。7月1日より、小売店で義務化される予定だ。すでにレジ袋有料化に舵を切った店舗もでている。移行したリユース店舗に話を訊いた。
小売業を行う全事業者が対象
今回、有料義務化の対象となるのは、"持ち手付き"の"商品を入れる"レジ袋。紙や布製の袋は対象外で、海洋生分解性プラ100%またはバイオマス素材25%以上、ないし厚みが50マイクロメートル以上の袋も対象外となる。また、景品や試供品を入れる袋は有料化の対象外となる。
商品を販売する際はレジ袋の料金を明記し、1円以上の価格設定にする必要がある。袋ごとに価格設定をする必要があり、複数枚のセット販売や、1枚目が有料で以降は無料とするのは認められない。
経済産業省の担当者は、「容器包装リサイクル法に基づき、容器包装の量が50トン未満の事業者は助言及び指導の対象となり、50トン以上の事業者には勧告、公表、命令を経て罰則が適用される」と話す。
キングファミリー
レジ袋利用客は1~2割 マイバッグ施策で円滑移行
古着店のキングファミリー加古川別府店では、4月1日からレジ袋を有料化。大小サイズともに5円に設定したところ、会計時にレジ袋を購入するお客は全体の1~2割程度となった。
中島友志代表は「もともと数年前からマイバッグを持ってきた方に割引を行うなど、プラゴミ削減の施策は行っていました。そのため苦情等も特になく、スムーズに移行できたと思います」と話す。同店のレジ通過客はコロナ前でおよそ100~150名。そのためレジ袋は1日10~20枚出ていく程度まで減った。
導入する際は有料レジ袋と無料紙袋の両方を検討していたが、「結局コストの問題で、レジ袋が1枚2円、紙袋が1枚10円ほどかかるため、紙袋は見送りました」(同氏)
スマイルサンタ
4月から有料化 既に95%のお客がエコ
長野県で総合リサイクルショップを9店舗運営するスマイルサンタ(運営:スマイルネットワーク、長野県長野市)では4月7日からレジ袋を有料化した。小・中・大・特大のサイズごとに価格が分かれており、それぞれ3・5・8・30円の価格を設定。レジ袋購入者は既に、全体の5%程度しかいない。
スマイルサンタ店頭に掲示されているレジ袋価格表
それまではサービスで無料のレジ袋を提供しており、古着や家電の購入時に利用するお客が大半だったという。有料化に際し「リユース店である以上、エコは推進したいと思っていた。今回の国の施策が後押しになった」(江口淳一社長)。
来店客からの不満は無く、多くは袋なしで商品を持ち帰るようになった。移行はスムーズだったという。
当初検討した紙袋やバイオマスプラは、仕入れの費用が通常のレジ袋に比べ20倍程度になるため導入を見送った。現在はエコバッグを100円程度で販売するほか、お客が買取時に持ち込んだ袋をリユースし、無料配布している店舗もあるという。
※追記:7月1日より、リユースのレジ袋も有料義務化の対象。
ゼロエミッション
昨年より1袋5円 7割の枚数削減に
ハードオフ等のFC店79店舗を展開するゼロエミッション(東京都八王子市)では、19年7月16日にレジ袋を有料化したところ、レジ袋145万枚の削減を実現した。
もともと理念として廃棄物の抑制を目指していた同社は、ハードオフ直営店がレジ袋を有料化したのをきっかけに移行。価格はサイズ一律で1枚5円で、直営店に倣った。
効果は大きかった。従来7月から4月末までの10ヵ月で約205万枚のレジ袋を消費していたが、有料後は同期間で59万枚まで減少。71%にあたる145万枚を削減した。
店舗運営部の佐々木賢生部長は「無料の頃は店頭スタッフが何も言わず袋詰めしたが、有料化後、お客様に声掛けを始めたことが要因かもしれない」と振り返る。お客にはカウンターに貼り付けたチラシで案内。外国人客に備え日英2ヵ国の表記を用意している。
今後もレジ袋消費量は減少すると見込んでおり、ゴミ削減を通じてSDGsなど環境保全を訴求していく。
ゼロエミッション運営のハードオフでは、カウンターにチラシを貼って案内した
第489号(2020/6/10発行)12面