広がるコロナ応援 買取金を自治体や団体に
2020年07月08日
買取金を懐に入れず、応援に回す。そういった思いの受け皿になろうと、新型コロナ感染対策を講じる団体や自治体と連携し、寄付プログラムに乗り出すリユース企業が現れている。
デファクト、宅配買取とふるさと納税を連携
全国でも珍しい、ふるさと納税と宅配買取を連携させたチャリティーサービスが誕生した。運営するのは宅配買取「ブランディア」で知られるデファクトスタンダード(東京都大田区)で、名称は"断捨離"と"チャリティー"を掛けた「断チャリプロジェクト」だ。
デファクトスタンダードの「断チャリプロジェクト」
ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」と連携し、不要なファッションアイテムを買取金に換え、そのお金を提供者が選んだ自治体の新型コロナ対策事業に充てられるという仕組み。まずは、東京と千葉の5自治体が対象となっている。
ふるさと納税の特性上、提供者は税金還付・控除が受けられる点は大きい。控除上限額内であれば、実質自己負担額は2000円で済む。また、このサービスを通じて買取りに出すと、デファクト社が査定額に1割を上乗せしてくれるため、提供する品々によっては通常の買取サービスを利用するよりも得するケースもある。
もう1つのメリットは、自分の住む地域に税金を落とせることだ。ふるさと納税の影響で都市部の住民税が地方に流れる傾向は強まり、例えば今回の5自治体の1つである世田谷区は、約54億円の税金流出が起こっていると言われている。新型コロナは都市部ほど感染拡大が強く、それに合わせた医療や教育等への対策に対し資金がより必要になりそうだ。
広報の友寄寛子氏は、「自分の住んでいる自治体への納税方法として、新たな選択肢になれれば」と話す。
デファクト社は、アイテムの売上をNPOの活動資金に回す、「ファッションチャリティプロジェクト(FCP)」という通販サイト事業も手掛けており、チャリティーの知見が高い。断チャリプロジェクトは、ふるさとチョイスの特設サイトから自治体を選ぶとFCPのサイトに進み、そこから申込できる。
ブックオフ、赤い羽根に寄付買取100件
ブックオフコーポレーション(神奈川県相模原市)が運営する寄付型買取サービス「キモチと。」にも、新型コロナ対策活動に寄せられる応援がここ2ヵ月で増えている。
3月30日には同サービスの支援先に、「赤い羽根」で馴染みのある中央共同募金会の、新型コロナウイルス感染症対策が加わった。これは、こども食堂等の事業助成に充てられる。当初は活発な寄付利用が見られなかったものの、4月3週目以降から寄付が増加。そこからの2ヵ月で100件分の物品が届いた。
「キモチと。には38団体・42プログラムの支援先があります。これまで立ち上がったばかりのものを見ていますと、申込件数は多いときで2桁という印象でしたので、大きな動きかと感じます」(ECセンターサービス企画部 小林完氏)。
ブックオフ ECセンターサービス企画部 小林完氏
自粛生活下での片付けが進んだと見られ、一度に多くの古本やパッケージソフトを寄せ、高額寄付した人もいたという。
また同社では昨年11月から、店頭買取の査定額を現金でなく、LINEPayやauWALLETプリペイドカード等5種類の決済サービスか、ブックオフのポイントのいずれかから選んでもらい、当日中に支払うサービスを展開。これのローンチと同時に、査定額を赤い羽根に回せる仕組みも用意していた。
ここからの寄付については、「想定より多い状況」(ITサービス企画部 清川貴志氏)という。「主には通常の店頭買取利用客の買取単価よりも安く、処分ニーズの高い方が査定額を見た上で寄付に回している傾向が強いです」(清川氏)
ブックオフ ITサービス企画部 清川貴志氏
第490号(2020/6/25発行)18面