「海外の2次流通」Vol.28、HUMANA (ウマーナ)、NGOが53店運営するチャリティ古着店

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「海外の2次流通」Vol.28、HUMANA (ウマーナ)、NGOが53店運営するチャリティ古着店

2020年07月08日

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海外の二次流通 連載 Vol.28(スペイン)
コンテナ回収する古着は年18,000トン

価格の安さとおしゃれな店舗で存在感
寄付された状態の良い古着を販売

スペインはファストファッションが盛んな国だ。ZARAやBershkaで知られる世界トップクラスのアパレル企業インディテックスグループはじめ、Bershka(ベルシュカ)、Stradivarius(ストラディバリウス)、PULL&BEAR(プル&ベアー)、MANGO(マンゴ)など、価格が安くてファッショナブルなブランドが数多くあり、日本に進出しているものもある。

そんなスペインで存在感を放っているのが、スペイン語で人間という意味のHUMANA(ウマーナ)という古着店だ。

バルセロナに20店舗、その他の主要都市に33店舗と、スペイン全土で合計53店舗を展開している。同店ではあらゆる年齢層の服のほか、コート、ハンドバッグ、靴、アクセサリーなどの雑貨、リネンのカーテンやテーブルクロスなども扱っている。

60年代や70年代のアイテムもあり、オリジナリティのある商品を非常に手頃な値段で購入できる。店舗では服や靴などの寄付を受け付けており、NGOの活動やプロジェクトについて学ぶこともできる。

服の買い取りはしておらず、店頭に並ぶ服や小物は全て寄付されたものなので、ファストファッションよりずっと安い。現地の留学生によれば、よくセールを開催しており、全品4ユーロだったものが、1日毎に1ユーロずつ値下げされ、3日経つと全品1ユーロになった日もあったそうだ。

このような店はヨーロッパでチャリティショップと呼ばれているが、HUMANAの場合、店舗は一見すると高級ブティックのようだし、服は女性用、男性用、またはテキスタイルに分けられ、カラーごとにディスプレイされていて、陳列も百貨店のように整然としている。普通の古着店だと思って利用しているお客も多いそうだ。

 

運営は世界45ヵ国で活動を展開するNGO
古着の50%はアフリカ諸国の地元で販売

運営しているのは同名のNGOで、環境保護とアフリカ、南アメリカ、アジアの各国で教育プログラムの展開を目的に1987年に設立された。現在550人のスタッフを抱え、世界45ヵ国で活動を展開する大規模な非営利団体だ。

街に約5000の黄緑色のコンテナを設置しており、そこから回収される古着は毎年18,000トン。そのうち約13%の良好な状態の衣類はヨーロッパのHUMANA店舗で販売され、50%はアフリカ諸国の経済を活性化するために地元の店舗に送られている。残り約30%は専門の会社に運ばれてウエスなどにリサイクルされ、7%は埋立地に運ばれている。

都心部に設置した黄緑色のコンテナで古着を回収している都心部に設置した黄緑色のコンテナで古着を回収している

第490号(2020/6/25発行)18面

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