~生前・遺品整理ダイアリー~
思い手に寄りそって Story19
自宅を売却し、介護施設や老人ホームに入居する高齢者が増えていますが、思い出のある家や物を手離すのは「喪失感」が伴います。今回はそんな高齢夫婦を心を込めた物の橋渡しとトレーサビリティ(追跡可能性)でサポートした事例をご紹介します。
マンションには家具や雑貨が大量にあった。右の大型の飾り棚は医師がゆずり受けた
物の「嫁入り先」写真送り高齢夫婦の喪失感和らげる
人生100年時代に入り、住み慣れた家を離れて高齢者用住宅や介護施設などに入居する高齢者が増えている。転居には家の片付けと売却が必要となるケースが多い。片付けや遺品・生前整理などを扱うアメイジー(神奈川県横浜市)の古川めぐみ代表は、地域包括センターや高級老人ホームなどの依頼で片付けセミナーを定期的に開催しており、高齢者施設への入所前の整理を依頼されることが多い。その中に港区の高級マンションに居住する80代前半の夫婦がいた。
その夫婦は40年ほど前に購入した90平米超のマンションに住んでいたが、同じ区内の高齢者用住宅へ入居予定だった。マンションには趣味の良い家具や妻が趣味でやっているステンドグラスなどが大量にあったが、転居先は50平米しかない。大半の物を処分しなければ引っ越しは不可能だった。
第508号(2021/3/25発行)19面