エコリング(兵庫県)×オークファン(東京都)
エコリングが昨年11月、オークファンと提携して業者向けにオンラインのリアルタイムオークション「エコリングオークション」を開始した。初回の出来高は約1億円。5月までには他社出品の受け入れ、今年中には海外展開も予定している。オークファンは同事業と連携することで、中古品のB2B市場のデータを獲得し、「在庫流動化事業」の新たな販路を確保する。2社の思惑を対談で探る。
――エコリングがオークション事業に乗り出した理由を教えてください。
桑田 大手が軒並みオークションをやり出して、数年前から「エコリングさんはやらないの?」と言われていたんです。はじめは「やらない」って言ってたんですが、いよいよ機運が高まってきたので。ただ我々は後発。進化させなければ意味がないと思い、WEBオークションという形をとりました。
あとは、元々ヤフオク!に出品していて、実はそれも半業者みたいな人も含めると8割くらいが事業者という事が判明した。だったら今の仕組みをそのまんま自社のプラットフォームでやっていこうと。
エコリング 桑田 一成社長
――なぜ、オークファンさんと?
武永 もともと私がブランディアをやっていたので、2006年くらいまでは同業だったんです。
桑田 そう、それで知り合いになった。オークファンは展開がおもしろいし、思い切りもいいので、僕は経営者としてすごく尊敬していました。何かチャンスがあれば一緒に組んでみたいという想いがあったので、オークションをやると決めた時に一番初めに声を掛けさせてもらったんですよ。
武永 うれしかったですよ。社内でも言っているんですけど、エコリングを一番敵にまわしたくなかったので。今って買取専門店がたくさんあるけど、10年前に「リアルで買ってWebで売る」という小型で効率的なモデルをつくったのが桑田社長。「これからもどんどん革新的なことをやっていって、業界をとっていきそうだな」と思っていたんです。当時は同業者だったので、危機感を持った記憶があります。
オークファン 武永 修一社長
初競り1億円「良い相場ついた」
――オークファンは、業者向けオークションシステムをもともと持っていたんですか。
武永 パーツパーツではありましたが、この10年の集大成みたいな案件だったので、「是非やらせてもらいたい」という感じで開発しました。
――昨年11月に初競りを行いましたが、出足はどうですか。
桑田 はじめから完璧なものではなくていいと考えていて、修正をかけて盛り上げていっている段階です。それでも1発目で1億円くらい売れました。業界の主要メンバーからも「良い相場がついている」とお褒めの言葉をいただいた。非常に安心しています。
――商品供給はエコリングから?
桑田 今は100%エコリング商品。バグがあった時に自分たちの責任で対応するためです。GW前までには、徐々に外部の方の商品を受け入れはじめたいと考えています。
――今修正をかけていっているのはどんな内容なんですか。
桑田 バックヤードの自動化などです。あと今は、自社の商品を自社で入札できるんですよね。自社商品に入札して値を吊り上げることを「テコる」って言うんですけど、それって非常に公正じゃない。我々は「公正さによって安心して取引が行える市場」を目指しているので、そういうのを解消したりしています。
武永 そこの部分は、我々もこだわりました。市場って運営者が恣意的に値段を設定したり、インサイダーみたいな吊り上げが一部ある。それを排除するために、事前入札価格はエコリングさんでも見れないようにしました。桑田社長からも強い意向をいただいて、自作自演をできないような仕組みにしたんです。
432号(2018/01/25発行)7面