《ブランド市場バイヤーに学べ42》「振り直し」「符丁」「あと乗り」要注意

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「ブランド市場バイヤー齋藤清の俺に学べ!!」

《ブランド市場バイヤーに学べ42》「振り直し」「符丁」「あと乗り」要注意

2018年03月08日

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第42回 慣れてきたからこそ気をつけたい!市場のNGマナー

早いもので、あとひと月で年度末。毎年この時期になると、昨年春頃に新人バイヤーとしてデビューした若手の人たちが落ち着いた佇まいになり、成長されてるなと感じます。反面、慣れてきたからこそミスやマナー違反がチラホラ目立ってくるタイミングでもあります。

商品知識も身に付き、場の空気にも慣れ、顔馴染みもできてきた。こんな時だからこそ気をつけたい、競りの最中にやってしまいがちな三つのミスをお話します。

まず、一つ目は「振り直し」です。振り直しとは、競りにかけられた商品を何らかの理由でもう一度競りにかけること。参加する古物市場によってルールはマチマチですが、基本的にはあまりしない方がよいとされています(場の進行が停滞しますし、売り手さんにとっては値が下がる可能性もありますからね)。

とはいえ、第三者から見て納得できる理由があれば振り直してもらえるでしょう。ただし、振り直しを依頼した買い手が、再びその商品を買うことは原則できないと思ってください。これは規約としては定められていませんが、暗黙のルールとして周知されている市場は多いです。要するに「高く買いすぎちゃったからやり直したい!」と考える人への抑止的な意味合いですね。これを知らずに、振り直しを依頼した買い手さんがもう一度声を上げると白い目で見られますし、会主から注意を受けることもあります。慣れてきたときこそ、競りで声を上げるときはもちろん「振り直しを依頼する=その商品は手放す」ことを念頭に、慎重に考えましょう。

二つ目は「符丁(ふちょう)」について。符丁は市場で値段を指す際に使われる隠語のことです(センマイとかドンとか、ああいうやつです)。普通に値段をいうよりもスピーディーかつ業界っぽい感じも出るので、慣れてくると符丁を使い始める人が結構います。

しかし、今はコメ兵さんのKOMEHYOオークション名古屋のように、符丁を禁止している大会が主流になりつつあります。そもそもは顔馴染みや地元の質屋さんが集まる「平場」形式の市場で使われていた符丁。それが全国の大会市場でも使われ始めると、買い手さんによっては買いたいのに買えない、値段が分からないといった不都合が生じるわけです。有利に買うためにあえて符丁を使っている人もいるみたいですが、前述のとおり今後は符丁NGの市場が多くなりそう。マナー的にも、大会では符丁を使わない方がいいでしょうね。

そして三つ目は「あと乗り」実はこれが一番やりがちで、しかも嫌われるかもしれません。「10万円!」と声が上がった数秒後に「...11万円!」最初に声を上げた人の金額を聞いてから考え、間が空いてからのヤリは失礼にあたると思われます(指した値段が、前の人の金額のちょい乗せくらいだと、なお悪印象に汗)。意外と自覚なくやっている人を見かけるので、万に一つの心当たりがあればご注意を...。

慣れてきても、競りの最中は常に気を引き締めて臨たいものですね。

《ブランド市場バイヤーに学べ》齋藤清齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長

Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。

434号(2018/02/25発行)15面

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